頭の中がザワっとする「モンキーマインド」対処法 がんじがらめの思考を解きほぐす「朝の日記」

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次に紹介するのが、ある日の僕の日記だ。

12月28日 日曜日 ニューヨーク

7時半、誰よりも早く起床。素晴らしい気分だ。

日曜日だからかな? スローペースでいいんだって感じられる。それで気分が最高なのかもしれない。どうして、月曜日とか火曜日とは違った気持ちになるんだろう?

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こっちのことはお構いなしに待ってる人がいても、好きなだけ待たせておけばいいや。

みんなが待ってくれてる場所にたどり着くために働いて、そこを目指して必死になってもがいてるさまは、なんだかおかしいよね。その逆じゃないんだ。

ようやく、大げさにもてはやされた場所にたどり着いたかと思えば、ますます大勢の人間が(ほとんど正当な理由で)ひっきりなしに、ドアを叩いてくる。それは日雇い労働者でいたときよりも、かなりのストレスだ。

収入が100倍になったことで、自分の自由意思の感覚が後退してしまったからなのか? 自分の食べたいものを自分で料理する代わりに、他の誰かのビュッフェから料理をいつも選ばされているような感じだからだろうか?

それとも、自分が持ってるものを、何とかして守らなくちゃって感じてるからか? 時間、お金、人間関係、居場所、ぜんぶひっくるめてさ。

攻めの姿勢で成功した人生の「勝ち組」にとって、守りに転じることは自分自身の核心部分と矛盾するのだろう。

ここでもう1度、ポイントをおさらいしよう。

問題を頭の中から追い出すのに使える

紹介した日記の解釈には2つの方法がある。どちらにも共通点がある。

1. 僕は物事を何とか理解しようとしている。書くことがその役に立つかもしれない。
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例を挙げよう。僕は、ゴール(ある意味での「成功」)と、そこから生じる、利益を帳消しにするような副作用の間に葛藤が起きることをちゃんと理解している。

僕がつかんだ大きな成功は、積極的に動いた結果だっていうことも分かってる。

どうしてもある程度の成功を収めると、それが足かせとなって、守りに入らないといけないような気持ちになってしまうんだ。戦う代わりに、妥協しようとしてしまう。

これは僕のDNAとは相いれないもので、不幸へとつながっていく。だからこそ、この「守り」を求める資産をすべて放棄してしまうか、もしくはその管理を上手に別の人に委ねてしまう必要があるのかもしれない。

笑っちゃうくらい分析的に聞こえるかもしれない。僕たちはそんなに頭が良くないって? でも、おそらく本当に大切なのはそんなところにあるのでは……。

2. モンキーマインド(雑念で入り乱れている精神状態)を紙の上に表しているだけだ。だからこそ、気分がのらない日でも、続けていくことができるんだ。

朝の日記で、問題を解決する必要はない。単純に問題を頭の中から追い出す必要があるだけなんだ。

そうしないと、頭の中で、延々と飛び交う弾丸のように、君を苦しめるだろう。

毎朝5分間、紙に向かって、ブツブツ言ったり、頭を抱えることで、本当に人生を変えることなんてできるんだろうか?

クレイジーだと思うかもしれないが、その答えはイエスだって、僕は信じてる。

ティム・フェリス 起業家、作家

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Tim Ferriss

米国の起業家、エンジェル投資家、作家、ポッドキャスター、ライフスタイル研究の第一人者。ファスト・カンパニー誌の「世界で最も革新的な人物」、フォーチュン誌の「40歳以下の影響力ある40人」、CNN の「テクノロジー分野における地球有数のエンジェル投資家の一人」などに選出される。

これまでに刊行した5冊の本はいずれもニューヨークタイムズベストセラーやウォール・ストリート・ジャーナルベストセラーリストで1位となり、『The 4-Hour Workweek』(邦訳『「週4時間」だけ働く。』)は35カ国で翻訳されている。

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