従業員の潜在能力が最大化される職場の条件 職場の「働きがい度」がわかる5つの要素を確認
ここで職場モデルを紹介して整理したいと思います。働きがいのある会社のベースを「信頼」として据え、あらゆる人の能力が引き出されることを重視しているのが、全員型「働きがいのある会社」モデルです。
信頼はリーダーへの「信用」、従業員への「尊重」や「公正」な扱い、そして仕事への「誇り」と仲間との「連帯感」から成り立ちます。
経営・管理者と従業員の間に高いレベルの信頼があり、一人ひとりの能力が最大限に活かされている。そのような会社は優れたリーダーシップや価値観(バリュー)があり、イノベーションを通じて財務的な成長を果たすことができます。
イノベーションは多様な人が集う職場から生まれる
特にイノベーションの観点においては、共通の価値観を持つ、多様な人が集まる職場にするのが理想です。とはいえ、実際に多様な人が集まる職場の働きがいを高めるのは簡単ではありません。たとえば20〜60代と年齢が幅広く、属性も職位もバックボーンもバラバラである従業員が在籍する職場では、全員が働きやすく、かつ、やりがいがある職場にするのは、容易ではないでしょう。
なぜなら、多様な人材がいるということは、体力も、家族構成も、興味の対象も、人生観も、労働観も……、皆バラバラ。そんな中で、たとえばフルリモートを開始して働きやすさを追求したとします。すると、業務に習熟しているベテランや子どもがいる従業員は働きやすさに繋がるかもしれませんが、若手や中途入社者は仕事で困った時にすぐに質問ができず、悶々としてしまうでしょうし、PCに不慣れな人は作業が行き詰まり兼ねません。
一方で、属性が比較的単一な従業員が在籍する職場を考えてみましょう。極端な例を挙げると30代男性ばかりである職場の場合、経営・管理者は30代男性が働きやすく、やりがいのある職場環境をつくればいいわけです。
それでもあえて多様な人が集まる職場をつくることに、それだけのメリットはあるのでしょうか。イノベーションの元となるのは「違和感」です。立場や視点が多様な場合、物事を進めていく中でも、職場で働いていく中でも、違和感を抱く人が必ずと言っていいほど現れます。
その違和感が発展の芽になるのです。多様な立場や視点であるからこそ、職場や顧客への接点で生じる「不」にもバリエーションが生まれます。「不」とは、「ネガティブな違和感」のことです。ここでは「不安」「不満」「不足」「不利益」などの総称を言います。
身近な例では「オフィスの使い勝手が悪い」と思ったら、使い勝手をよくする案が多様な人材がいる職場ではバリエーション多く出てくると予想できます。解決したらその分、職場環境はひとつよくなることになります。
オフィスの使い勝手を例にしましたが、これがたとえば「ECサイトの不便さ」や「商品の味」や「広告の打ち出し方」などでも当てはまるのではないでしょうか。「不」が多く見つかり、どんどん改善されるとイノベーションに繋がるのです。
もちろん、イノベーションを起こすにはただ単に多様性があるだけではなく、全員型「働きがいのある会社」モデルの各要素が発揮されていることが重要です。また、多様な職場だからこそ従業員に求められる姿勢があります。「自律」と「共創」がそれです。
自律とは、自分で考え、判断し行動できること。共創とは、人と人との繋がりの中で新しいものを生み出していくことです。この自律と共創が掛け算され、さらにチャレンジングな状態であることこそ、「イノベーティブな職場」 といえるのです。
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