伝統仏教は現代人の不安に寄り添えているか 主要9法人に過疎地寺院やLGBTQについて聞いた
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受け、不当寄付勧誘防止法が成立した。法律では「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見」で個人を困惑させ、宗教法人へ寄付させることを禁じている。
旧統一教会の一連の問題は宗教界全体にネガティブな印象を与えることとなったが、宗教界の不安材料は旧統一教会だけではない。少子高齢化や都市部への人口流出によって、住職のいない無住寺や、近隣の住職が葬儀や法要の時だけやってくる兼務寺が増えているのだ。
長男が家や墓を継いでいく檀家制度をはじめ、男性中心になりがちな伝統仏教界ではLGBTQ(性的少数者)の存在にどう対応していくのかも喫緊の課題となっている。
現代では、菩提寺を持たず、僧侶と話す機会がない人も増えている。そんな時代に、宗教は人々の悩みや不安に答えられるのか。必要とされる存在になれるのか。東洋経済は伝統仏教の主な10法人にアンケート調査を実施した。尋ねたのは以下の4項目。
① 旧統一教会問題を受けて成立した不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)の評価や寺院への影響
② 過疎地で増加する兼務寺や無住寺への対応策
③ LGBTQに対する見解、理解促進の取り組み
④ 現代人の悩み、不安に対応できているか。相談体制の有無
回答があったのは天台宗、高野山真言宗、真言宗豊山派、浄土宗、浄土真宗大谷派、浄土真宗本願寺派、臨済宗妙心寺派、曹洞宗、日蓮宗の9法人だった。
新法への懸念も
不当寄付勧誘防止法の影響は「特にない」(高野山真言宗)、「検証が難しく、目下研究中」(天台宗)、「情報を収集している段階のため回答は差し控える」(浄土真宗大谷派)と明言を避ける法人が目立った。
一方、日蓮宗は「新法の『霊感』や『困惑』が拡大解釈されることによって、宗教行為が制限されたり、悪いものであるかのような捉え方がされないか危惧する」と運用面での懸念点を挙げた。浄土真宗本願寺派は「宗教活動や寺院運営に影響を及ぼすような問題が生じることのないよう、全日本仏教会とも情報共有し連携協力しながら、適宜適切に対応してまいりたい」と回答した。
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