噛む菓子「グミ>ガム」になった令和ならではの訳 グミがガムの市場を奪ったと考えるのは短絡的

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グミ
スーパーやコンビニの棚には次々と新しいグミが並ぶようになっている(撮影:梅谷秀司)

今年3月、明治がロングセラーのキシリッシュガムとプチガムの販売を終了し、ガム事業から撤退することが話題になったが、その時ガム市場を奪ったと取り沙汰されたのが、グミだった。実際、インテージの調査によると、2021年にグミの市場規模はガムと逆転。「噛む市場」での主役交代の背景に何があるのか。両者の歴史などを振り返りながら考察する。

フォロワー16万人の「日本グミ協会」

グミは今、弾力性の程度、多彩なフレーバー、コーティングしたものや中に液体を入れたものなど、さまざまなバリエーションがあり、スーパーやコンビニでも目立つところにズラッと並ぶ。2021年に若い世代の間で人気となった地球グミなど、SNS時代ならではの「映え要素」からも注目を集めている。

SNS人気を後押ししたと思われるのが、日本グミ協会の活動だ。現在会員が2万6000人、フォロワーは16万人もいる。2013年に同会を設立した武者慶佑名誉会長は、ハッシュタグをつけて新作のレビューを書く、人に会えばグミを配るなど、コツコツと活動の幅を広げた。その後はグミメーカーとも、UHA味覚糖が商標登録していた9月3日の「グミの日」キャンペーンなどのコラボ活動を行うようになった。

武者氏によると、グミの種類は10年前と比べて、種類は10倍ぐらい増えている。既存の食品をグミにして売り出すケースも多い。ヨーグレット・スイカバー・ガツン、とみかん・チョコボールなどの定番菓子や、人形焼き、生八つ橋などの和菓子のほか、JAのブランド、ニッポンエールは形が悪いフルーツをグミにしている。香川の讃岐うどん風グミなどのご当地グミもある。

群雄割拠する背景を武者氏は、「グミはクッキーなどと違って手作りでおいしくするのは難しい一方、ゼラチンに水あめを溶かし、型に流し込めばできる、と製造工程がシンプルなので参入障壁が低い」と説明する。 

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