噛む菓子「グミ>ガム」になった令和ならではの訳 グミがガムの市場を奪ったと考えるのは短絡的
日本チューインガム協会の小売りデータによると、2004年にガムの売り上げはピークに達し、その後は右肩下がりになっていく。ガム全体では2004年から2021年の17年間で市場規模が6割にまで縮小した。問題はロッテが次々に新商品を出しているにもかかわらず、ガムの市場が縮小したことだ。
人気低下の要因を、福田氏は以下のように分析する。「口臭ケアとしては、タブレットが簡便であり、ゴミを捨てなくていいと言われます」。喫煙者も減り、タバコの臭いを消すために噛む人が減り、運転中の眠気覚ましに噛む人も自家用車を運転する人が減ったことで少なくなった。
暇つぶしもスマホに取って代わられ、さらに「マスクをつけながらガムを噛むと、マスクを噛んでしまうなど噛みづらいんです」と福田氏。ガムと必要とする要素が、時代とともに減ってしまったのだ。
ガムの巻き返しが始まっている?
しかし実は、2010年代終わり頃からガムの巻き返しが始まっているという。
ロッテは2018年、「噛むこと研究部」を立ち上げ、自治体や研究機関・企業と連携して健康効果を研究するほか、各年代に合わせた宣伝にも力を入れている。韓国のトップアイドルグループBTSをCMに起用したり、スポーツ選手向けの商品「GEAR」を出したり、「コーヒーガム」などの復刻ガムを期間限定で出すなどして、新たな需要を開拓しようとしている。
こうした中、2018年、2019年にガム市場の低下に歯止めがかかり始めた。ところが、2020年にコロナ禍が始まりガム市場も急落する。反転を始めたのが今年になってから。反転した要因を、福田氏は3つ挙げる。
1つ目は、コロナ明けだ。福田氏によると、2月10日に、政府がマスク着用の考え方の見直しを発表したあたりから、ガムの市場規模が拡大し始め、1月30日週から3月27日週で、インテージの全国全業態推計販売規模データによると、前年比108.1%(*2)と、人流とリンクした動きが出ているという。
「ウェブアンケートを取ったところ、マスクを外して気になることの3位は口臭でした。エチケット対策の2位もガムを噛むことで、3位の錠菓(タブレット)より伸びが高くなりました」(福田氏)
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