最高額の落札者が最も損しても不思議じゃない訳 実際の価値よりもはるかに高く見積もってしまう

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「さて、誰に落札されるか確認してみましょうか。ナム・シヒョンさん! シヒョンさんが800円、最高額を書きましたね。ビンはナム・シヒョンさんが落札しました! トントントン!」とナ先生。

「おお! 今回はシヒョンが当せんか! 臨時収入だな」

みんなから羨望の混じったお祝いの言葉がかけられた。

勝者の不幸、いつでも勝者がいいわけじゃない!

「それではクリップがどれだけ入っているか、確認してみましょうか?」

ナ先生がビンを持ち上げて言った。

「ごまかしがあるといけないから、先生が数えますね!」

ギョンホとチャンミンがビンを開けて、教壇の上にクリップをざあっと出した。みんな目を見開きながらクリップが数えられるのを見守った。

「38個!」

ギョンホが叫んだ。

「38個ということは380円ね。では、シヒョンからまず800円をもらってから、380円を渡せばいいわね。シヒョン、お金の準備はできてるわね?」

ナ先生はとぼけたように言いながらシヒョンに手を差し出した。シヒョンは何かだまされたというような納得いかない表情で、財布からお金を取り出した。その瞬間、ナ先生がシヒョンの手を止めて、こう言った。

「だめだめ! 冗談よ、シヒョン。先生が生徒からお金を巻き上げたら大問題だわ」

「もう、先生! それでも約束だから受け取らなくちゃ!」

生徒たちが、お金を受け取るべきだと主張すると、ナ先生が話を続けた。

「『勝者の不幸』というのが、こういうことなんです!」とナ先生。

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