思うに、日本の人たちは、どうしても自分たちと同じ「物差し」で外国を見てしまうきらいがあります。しかしながら、日本のように国民に一体感があって、平均的に教育水準も高いという国は、世界の中では極めて特殊で、実は中国などは日本とは真逆と言ってもいい国です。大陸で国土は広いし、民族も人口も多い。国民はバラバラで、公共よりも自分優先、格差もとんでもなく大きい。
ところが、同じ東アジアの国だし見た目も似ているということで、日本人はどこか自分たちと同じ感覚で中国を見てしまう。政府要人の発言は、中国国民全体の声だと思ってしまうし、一市民のインタビューを、中国国民全体の意見だと思ってしまう。しかし、そんなことは決してありません。日本人と同じ物差しで見ているかぎり、日本人は永遠に中国を理解できないと思います。
日本はもっと「中国人の未来志向」を利用すべきだ
中村:少なくとも、中国の国民は日本よりも現実主義的で、「過去よりは未来」という志向が明確です。共産党政府がなんと言おうとも、日本に行きたい、日本製品が欲しいと思っています。
日本人は自虐思想というか、反省しすぎなんですね。相手が何とも思っていないことを、自分から言い出してしまう。黙っていれば何の問題もないのに、余計なひと言をいつも言ってしまうんです。反省の意を見せれば相手は好意を感じてくれると思うのが、世界を知らない日本人の悪いところです。
小林:日本のほうが、歴史問題をずっと引きずっている印象がありますね。過去はどんどん過去になり、世界は大きく動いているのに、自ら過去の問題を持ち出して墓穴を掘っている感じがします。日本はもっと中国人の未来志向というか、日本大好きという感情を利用すればいいと思います。もっと戦略的に、賢くなったほうがいいでしょう。
中村:日本人の多くが、自分たちは世界の先進国だという意識があると思いますが、グローバル化という部分では、日本は世界に遅れをとっています。むしろ、ずっと後発の中国にうまくやられている部分が大きいくらいです。グローバルな視点でものを考えるという面では、中国のほうがかなり先を行っていますよ。中国人は国家を信用していないから、昔からグローバル志向なんです。どんどん外国に出て行くし、現地に住み着いてコミュニティを作り上げてしまう。
アフリカなどがいい例ですが、中国は日本の先を行こうとあの手この手を打ち出してきています。今は家電製品や自動車など圧倒的に日本製品のほうがいいですが、このままだと10年、15年後にはどうなるかわかりませんよ。「性能9割、価格半分」の中国製品が市場を席巻してしまうかもしれません。
日本人はそれが面白くないから、「無理に背伸びをして」とか「中国の三流技術が世界で売れるわけがない」とか言っていますが、そんなことを言っている暇があるなら、自分たちも本気でグローバル戦略に取り組むべきです。日本人が本気でやれば、中国はまだまだ敵ではありません。いまからでも遅くない。そのことを強く意識すべきだと思いますね。
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