中国人の大半は歴史問題など気にしていない 日本人は「本当の中国」を知らなさすぎる

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小林:中村さんが著書で述べられているように、中国のエリートは本当に日本が大好きで、それは子どもたちの間でも同じなんですね。中村さんのお孫さんの贈り物攻撃も、日本のお土産だったから効果が大きかったのではないでしょうか。

中村:都市部のエリートや富裕層は、みな日本好きだというのはわかりますが、農村部で暮らす人々や貧しい人たちはどうなのでしょうか。共産党の「反日教育」に洗脳されてはいないのでしょうか。

本当の中国を理解しようとしていない日本人

小林史憲(こばやし ふみのり)テレビ東京『ガイアの夜明け』プロデューサー。1998年同社入社。2008年から2013年まで北京支局特派員。これまで中国すべての省・自治区・直轄市・特別行政区を訪れ取材を刊行。現場主義を貫き、当局の拘束回数はなんと21回にのぼった。

小林:「反日」ではありませんね。内陸の農村に行くと、日本も含めて外国のことをよく知らないという人たちは存在しています。

ただ、彼らは「反日」とか「日本嫌い」とかではなく、単純に教育や情報がなく、「知らない」という人たちです。

都市部の人たちは、多くが「日本好き」だと言ってよいでしょう。なぜ、そんなにも「日本好き」なのかというと、その理由は明白です。中国の人たちは合理主義者なので、「自分たちの今の幸せが何よりも大切」という価値観で生きている人がほとんどです。

だから、いくら「反日教育」をすり込まれても、「愛国心」を第一に考える人は少ない。大事なのは「国」ではなく「自分」です。「自分の幸せのために、質の高い日本製品に囲まれて生活したい」と普通の中国人は考えるわけです。

中村:おっしゃるとおりで、日本人は本当の中国を理解していないんです。私は日中の問題は、日本側にも多分に非があると思っています。

本当の中国を見ようとしないで、雰囲気だけでものを言っている。中国はそれなりに日本に対して、ラブコールを発していますよ。旧正月には大好きな日本にやってきて、抱えきれないほどのお土産を買って帰ってくれる。そして、中国に帰れば、日本は本当によかったよと、友人たちに話をしてくれる。

彼らのメッセージを受け流してしまっているのは日本のほうだと思います。「集団で来られて迷惑だ」「マナーがなっていない」など、あらを探して文句を言ってばかりです。それがネトウヨと言われるような若い世代に多いことも気がかりです。

小林:中国でもネットの世界では愛国主義に燃え、「反日」を声高に叫ぶ者もおりますが、総じて見れば、日本のほうが陰湿な気がします。中国を悪く言わなければ、「売国奴」などとののしられたりします。日本のほうが、愛国心が強いとも言えるかもしれませんが、異なった意見を言いにくい社会には、ちょっとした気持ちの悪さを感じますね。

中村:たしかに、日本は同質社会で異分子を認めない社会。一方、中国はいい意味で個人主義です。だから、日本のような「村八分」の文化や体質もないですね。

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