維新・浅田氏「防衛力強化は経済・産業にもプラス」 日本維新の会が考える「あるべき安全保障」の姿

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塩田:日本の安全保障の問題で、具体的に課題となっている点についてお尋ねします。例えばミサイルが飛んできたときの迎撃態勢は。

浅田:これはイージス艦とPAC-3のセットですね。PAC-3は射程が50キロぐらいで、範囲が限られる。これで本当に撃ち落とせるかどうか、はなはだ疑問で、すごく弱い。海上でイージス艦で守れるかという疑問があり、だめなときにPAC-3で迎撃できるのかという問題があります。それでイージス・アショアという案が出てきたけど、元へ戻って、イージス艦を8隻体制に増やすという話になった。

イージス・アショアにしようとした理由の1つに、海上自衛隊の隊員不足があります。海自は出ていったらいつ帰ってくるかわからないから、結婚するにしても、家庭の問題となるので、なり手が少ない。海自の隊員確保のために、艦船数を減らして、陸上で守れるところは陸上で、それ以外の航空投射力でカバーできるところはカバーする。そういう方向に行きかけたけど、うまくいかない。自衛隊の方が「本当の敵は中国でも北朝鮮でもなく、少子化」と言っていましたけど、ロボットなどの開発が不可欠です。

サイバー攻撃は戦争行為

塩田:もう1つ、気になるのはサイバー攻撃です。

浅田:これも日本はかなり弱いです。サイバー攻撃隊がある。中国には3万人、北朝鮮にも5000人のサイバー部隊があり、例えばDDoS攻撃といって、一点に絞って攻撃してくるわけです。

塩田:NTTコミュニケーションズのサイト「docomo business」の解説では、ウェブサイトやサーバーに対して過剰なアクセスやデータを送付するサイバー攻撃を「DoS攻撃(Denial of Service attack/サービス拒否攻撃)」といい、これを複数のコンピューターから大量に行うことを「DDoS攻撃(Distributed Denial of servise attack/分散型サービス拒否攻撃/読み方は『ディードス攻撃』)」という、と説明しています。

「DDoS攻撃を受けると、サーバーやネットワーク機器などに対して大きな負担がかかるため、ウェブサイトヘのアクセスができなくなったり、ネットワークの遅延が起こったりします」とのことです。

浅田:電力会社を対象にすると、特定の地域に限って停電させることが可能です。首相官邸に的を絞って、官邸への電気の供給を全部、遮断してしまう。コンピューターも止まってしまう。電気もエレベーターも使えない。そういう状況にするのは可能です。

塩田:このサイバー攻撃は憲法第9条が規定する「国権の発動たる戦争」とか「国の交戦権」と見なすことができると思いますか。相手の国が、国家機関でサイバー攻撃を仕掛けたとき、これを戦争行為と見なして反撃能力を使うとか、そういうことが憲法上できるかどうか、議論が必要になると思います。

浅田:私は戦争行為だと思う。日本ではサイバー攻撃でまず出てくるのが警察です。警察権の範囲で取り締まる。実際に他国の軍が関与して自衛隊のコンピューターシステムをハッキングする、あるいは実際の攻撃をするということがあっても、最初は警察権でしか対応できない。その点の法律の整備が必要です。

デジタル庁もできました。デジタル庁で日本のシステムの一元化を行い、マイナンバーカードで何でもできるように進めていますが、急所が集中するデジタル庁が攻撃されたとき、みんな止まってしまう。それを防ぐ手立てはたぶんない。

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