維新・浅田氏「防衛力強化は経済・産業にもプラス」 日本維新の会が考える「あるべき安全保障」の姿

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浅田均(あさだひとし) 1950年大阪市生まれ。大阪府議会議員、大阪府議会議長、日本維新の会政調会長を経て、現在、日本維新の会参議院議員会長。著書に『大阪維新 チーム橋下の戦略と作戦』(共著)がある(撮影:梅谷秀司)

塩田:防衛3文書改定では、文字のうえで「専守防衛、非核三原則を守りながら、積極平和主義を」とうたっています。一方で反撃能力を認めるという。実際に安全保障政策の歴史的な転換を図ったのかどうか、はっきりしないところがあるように見えます。

浅田:専守防衛で第1撃は甘んじるけど、相手は第1撃をやることによって2撃目、3撃目は確実に反撃されると思うから、1撃も抑止できるというのが抑止力です。だから、専守防衛だけど、抑止力は格段に高まると、もっと説明しないとだめです。

それを持つためにこういうことをやっているという説明が決定的に不足していますね。専守防衛だから、自衛隊の装備も、航空母艦、長距離爆撃機、空中空輸機、長距離ミサイルなど、攻撃的な兵器は持てない。すごくいびつな形になっている防衛力をある程度、是正する。それが抑止につながる。

従来の考えに固執すれば経済も成長しない

浅田:同時に、今までの考え方に固執すればするほど、経済も成長しないという現実があります。米中が経済でも世界で覇権争いをしていますが、日本が割り込んでいくには、経済力も軍事力も大きくしていく必要がある。

例えば、原子力潜水艦の軽水炉が陸に上がって大きくなったのが原発ですから、逆に小さくして戻せば原子力潜水艦になる。だから、原子力潜水艦を維持して、原子力の技術を維持する。防衛力は高まるし、技術は高く売れますね。それができる技術者を育てていく。あるいはそこにお金を投じる。それによって1つの産業の将来展望が見えてくる。

兵器はアメリカから高い値で買わされるだけで、それが経済の縮小にもつながっています。軍需産業ですけど、半導体、ロボット、AI(人工知能)など、最先端技術の集合体なんです。そういう分野を閉じているから、日本では技術革新も新産業も起きない。それに伴った経済のパイも広がっていかない。自ら袋小路に追いやっているという気がしますね。

塩田:維新の政策は浅田さんが中心となって策定した「維新八策」ですが、安全保障・防衛政策では基本的に党内に合意が形成されていると見て間違いありませんか。

浅田:合意ができています。安倍内閣時代の2014~2015年の平和安全法制の協議のとき、地方議員も国会議員も全員集まって議論しました。平和安全法制で、防衛出動の対象となる「存立危機事態」に関して、自民党の案だと、純粋に他国防衛になってしまう可能性がある。無限定になるので、条約によってわが国を守っているアメリカ軍が攻撃されたときに限定して防衛出動ができるということで歯止めをかけた。自民党とのいちばんの違いはそこですね。

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