ネット葬儀の価格破壊で「下請け」業者は悲鳴 零細業者は「ただの『遺体処理業』か」と吐露
低価格の葬儀プランでは「収支トントンか、赤字になる」と、ネット業者からの委託経験のある複数の葬儀業者は嘆く。
「遺族の面会はできない」
「ある時期までは価格の適正化が進んだといえたが、価格は落ちるところまで落ち、今は限界まで来ている」
そう話すのは、葬儀業者の依頼を受けて遺体の搬送や安置、スタッフの派遣を行うA社の代表だ。同社の遺体安置施設には面会室があり、出棺の前に遺族は故人とのお別れができる。
ところが近年、ネット仲介で火葬式を行う葬儀業者から、「遺族の面会はできないことにしてくれ」と言われることがあるという。
面会室を利用すれば、葬儀業者からA社へ支払う追加料金が発生する。低予算の火葬式を請け負う葬儀業者は、ただでさえ利益が出にくいため追加料金が発生するのを避けたいのだ。
A社代表は、「遺族から希望があれば面会させないわけにはいかない。うちが無料でもやるしかない」と話す。
通夜や告別式を行わず火葬だけを行うことを火葬式と呼ぶが、正式な定義があるわけではない。遺族の面会の有無についてプランに記載がない場合もある。
「面会できないと葬儀業者に言われれば、遺族はそうするしかない。費用を削るためにやらない業者もいるだろう」(A社代表)
格安葬儀を請け負う葬儀業者の中には、最低限の費用まで削ろうとする業者までいるのが現実だ。