そもそも大学の閉鎖には時間がかかる。大学のコンサルティングを数多く手がけるアクセンチュアの根本武ビジネスコンサルティング本部マネジング・ディレクターは、「大学生の在籍可能年数は最大8年。その間の経費負担も考慮して判断した」と見る。
さらにリクルート進学総研の小林浩所長は、「本当に厳しくなってからの撤退だと風評被害が大きくなる」と指摘する。学校法人を存続させるためにも、「選択と集中」は早期に断行したほうがいい。
さらに「定員割れ」に対する国や文部科学省の厳しい対応もある。
政府の規制改革推進会議や「骨太の方針」を議論する経済財政諮問会議では、大学の縮小や撤退の促進に向けた制度見直し議論が進んでいる。教育の質が確保されず定員割れとなっている大学や赤字経営の大学に対し、補助金削減などの厳しい措置が想定される。
また、低所得世帯の学生に支給される修学支援金は、学校側にも対象となる条件があるが、3年連続で収容定員充足率8割未満が欠格要件の1つ。対象校から外れれば、学生集めへの影響だけでなく、学校法人のイメージダウンにもつながる。
共学化は投資負担大
女子大の場合、共学化という選択肢もある。しかし、設備投資がかかるうえに費用対効果も未知数。さらに教職員やOG、保護者といったステークホルダーの理解を得る必要も出てくる。
少子化が進む中、今後も「撤退は増えるだろう。小中高だけ残して大学だけ法人分割する例も出てくるのでは」(小林所長)。苦境の大学にとって経営判断が求められる局面だ。
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