名だたる企業が「アンケート調査」に大失敗する訳 あのマクドナルドでも苦戦してきた
この実験では、寮生活を送る学生が対象で、そのほとんどの学生は併設の食堂で食事を済ませます。そんな学生が次の2つのコピーのどちらに動かされたかを検証しました。
・コピー2 「食堂のトレイには、1日に5つの果物と野菜を置きましょう」
学生にアンケートを取ったところ、「言葉がいいし効果的だろう」と選ばれたのはコピー1でした。このアンケートだけを基にすると、コピー1のほうがいいように思うでしょう。
ところが、実際に大学生たちの食生活の改善に役立ったのは、コピー2でした。なぜなら、コピー1のほうが言葉としての響きが良くても、いざ寮の食堂でシステム1で選ぶとなった際、頭に浮かぶのはコピー2のほうだからです。
この実験は、マーケティング調査などでアンケートを取って決めた宣伝文句は、往々にして効果が出ない場合があることを示しています。
ここで覚えておくべきは、消費者自身も無意識に行動をしているため、自分がなぜそのように行動したのかを言語化することはできないということです。行動経済学を理解していれば、マーケティング調査の限界を意識しながら、顧客の行動についてその背景を読み解き、柔軟に解釈することが可能です。
マクドナルドのアンケート調査が失敗したワケ
多くの企業でもマーケティングリサーチとしてアンケートを実施していますが、この手法で消費者心理を捉えるのは難しいでしょう。それは、世界的企業であるマクドナルドでさえ同じです。
マクドナルドと言えば、主力商品である、脂っこいハンバーガーやフライドポテトを手早く美味しく食べられるということで、1955年のフランチャイズ開始以来、急成長を遂げてきました。
しかし、時代は変わり、近年は「健康志向」の傾向が強まっています。マクドナルドが行ったアンケートでも例に漏れず、「もっと健康的なメニューも増やしてほしい」という声がたくさん挙がったそうです。そこでマクドナルドとしては、「消費者の求めるもの」を提供しようと、2013年、サイドメニューにサラダとフルーツを加えました。
お客さまの要望通り、世の中のヘルシー嗜好に合わせて、もっと幅広いメニューを提供しようとしたのです。
しかし、この戦略は裏目に出ました。マクドナルドが大規模なマーケティングを行ったにもかかわらず、実際顧客が買い求めていたのは「健康的なメニュー」ではなく「こってりした揚げ物、ファストフード」でした。
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