名だたる企業が「アンケート調査」に大失敗する訳 あのマクドナルドでも苦戦してきた

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多くのビジネスパーソンと接する中で気づいたことがあります。クライアントが大企業の経営幹部だろうとスタートアップ企業の若い社員だろうと、会議室では間違った議論が行われているのです。

「なぜ顧客は我が社のこの商品を買わないのか? この機能を加えたらメリットになるから買ってくれるんじゃなかったのか?」

「このアプリのダウンロード数が伸びないのはなぜか? 価格設定が間違っているんじゃないか」

これらの議論は企業で頻繁に行われている「あるある」でしょう。なぜこれらの議論が間違っているのでしょうか。こういった会議室の議論は、「システム2」を使って消費者のことを考えてしまっているからです。

消費者の多くは「瞬間的な思考」でサービスを買う

行動経済学の理論に「システム1 vs システム2」という理論があります。簡単に言うとシステム1は「直感」、システム2は「論理」です。人間の脳が情報を処理する際には、「直感」に基づいて判断するシステム1と「論理」に基づいて判断するシステム2の両方があり、場面場面で使い分けています。

あなたが何か買うときのことを思い出せばわかると思いますが、消費者は実際には、じっくり考えて商品やサービスを買うわけではありません。多くはシステム1を使って瞬間的な思考で購入します。

例えば、「商品Aは価格が安くて品質が良い」となれば、消費者は合理的に判断してAを選びそうなものですが、実際は異なります。消費者はなんとなく商品Bを買ったり、合理的とは言えない意外な理由から商品Cが爆発的に人気になったりします。

あるいはユーザーはアプリをダウンロードするとき、「似たようなアプリをすべて比較・検討した結果、アプリBが使い勝手が良くて無料でいろいろなことができる」という合理性に基づいて意思決定することはあまりありません。スマートフォンをいじっていて、「なんとなく良さそう」という理由で深く考えたりせずにダウンロードする人が多いでしょう。

このように、マーケティングリサーチをする際と、実際の日常生活とでは乖離があることから、リサーチのデータは鵜呑みにできないということは実験でも証明されています。

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