名だたる企業が「アンケート調査」に大失敗する訳 あのマクドナルドでも苦戦してきた

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世界的企業であるマクドナルドでさえ、アンケート調査で消費者心理を捉えるのは難しいのです(写真:shima-risu/PIXTA)
多くの企業でマーケティングリサーチとして取り入れられている「アンケート調査」。一見、消費者のニーズを吸い上げる最適な方法に思えますが、実はあの「マクドナルド」もアンケート調査で失敗するといった結果が出ています。
私たちはついつい消費者に直接聞けばいいと思いがちですが、しかし、「アンケートを書いているときの消費者」と「実際に商品を買うときの消費者」は果たして同じでしょうか。その齟齬が、マーケティング調査の失敗を生み出しています――。
「行動経済学」博士である相良 奈美香氏は上記のように言います。同氏の新刊『行動経済学が最強の学問である』から一部抜粋、編集してお届けします。

「アンケート」も「会議室の議論」も的外れ

アマゾン、グーグル、アップル、ネットフリックス……。今、これらの世界トップ企業がこぞってビジネスに取り入れている「学問」があるのをご存知でしょうか。それが「行動経済学」です。なぜなら、ビジネスの中心は「人の行動を変えること」であり、行動経済学とはまさに「人の行動を変える理論の集まり」の学問だからです。

私は現在、アメリカで「行動経済学コンサルタント」をしています。その仕事は、行動経済学をいかにビジネスに取り入れるか、企業にコンサルティングをすること。行動経済学が「人間(の行動)」を研究対象としていることから、企業が取り入れる行動経済学の用途は多岐にわたります。

わかりやすい例ですと、マーケティングや宣伝、販売戦略などのデータとなるマーケティングリサーチがあります。企業の顧客はまさに「人間」そのもの。「人間の行動」を科学的に理解することで、その商品やサービスの販売促進につなげられます。

一方、ビジネスに関わる「人間」は顧客ばかりではありません。企業の従業員も同じく人間ですから、人事政策に行動経済学を取り入れることで、従業員満足度の向上につなげる企業もあります。

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