アメリカの｢医薬品不足｣あまりに深刻な実態 がん治療すら危ぶまれる厳しい状況にある

当局者らは可能な対策について議論を進めており、そこにはジェネリック医薬品メーカーに対する税制上の優遇措置やジェネリック医薬品の品質について透明性を高めることなどが含まれる。

現在の政策的インセンティブは、価格を最も低く抑えられた製薬企業に有利に働く仕組みとなっているが、中には価格を抑えるために手抜きを行っている企業もあり、FDAの改善命令によって工場がストップして供給が途絶えてしまうことがある（減量薬のように需要が大幅に高まったことが供給不足の原因となっている医薬品もあれば、抗生物質のように過剰処方や潜在的な代替薬への投資が足りないことが供給不足につながっている医薬品もある）。

根底にある「経済の問題」

FDAは約10人のチームを設けて医薬品不足の緩和や報告の業務に日々あたっているが、医薬品の製造とサプライチェーンについてさらなる情報を得るための権限を議会に求めているところだとしている。

さらにFDAはホワイトハウスに対して、ジェネリック医薬品業界の経営に厳しい負荷がかかっていることについても懸念を伝えている。FDAの当局者によると、これは経済の問題であり、FDAが対処できるものではないという。

FDAの長官ロバート・カリフは最近、議会で複数回証言し、FDAが対処療法的に対応するのでは限界があるという、FDAの見解を明確にした。

「この問題を解決するには、根底にある経済の問題を解決しなければならない」。カリフは下院委員会でそう述べた。

ジェネリック医薬品メーカーの団体、アソシエーション・フォー・アクセシブル・メディスンズで暫定最高経営責任者（CEO）を務めるデイヴィッド・ゴーは4月の会合で、少し前に経営破綻して廃業に追い込まれたエイコーン・ファーマスーティカルズに続く製薬会社が何社も出てくるだろう、とFDAの担当者に警告したことに触れた。