日本人の「給料安すぎ問題」超シンプルな根本原因 すべては「30年間の労働生産性の停滞」に帰結
経済的に遅れていた、いくつかの国に給料水準で抜かれた原因は、労働生産性の差をつけられたからに他ならないのです。
日本の労働生産性は1990年からまったく成長していません。2021年の労働生産性の水準は1990年を2.2%だけ上回っていますが、この間、アメリカの労働生産性は1.6倍も上がっていますので、たったの2.2%では成長したうちに入らないのです。
生産性が向上しないと、豊かになれない
さて、ここで改めて、経済はどのように成長するか、基本を確認しておきたいと思います。
経済は人口の増加と生産性の向上によってのみ成長します。前者は量の効果はもたらしますが、生活水準の向上は生産性の伸長によってのみにもたらされます。ですので、人口が増えても生産性が上がらなければ、国の経済規模は大きくなりますが、1人ひとりが豊かになることはないのです。
日本は、人口が減っている上に、生産性も上がっていません。しかも、高齢化の進展によって、年金や医療費の負担が増え、税負担が上がっているので、現役世代の生活水準は下がる一方です。
この状況を打破するには、生産性を向上させるしか方法はありません。
となると、問題は労働生産性をどうやって上げるかに集約されます。
労働生産性を向上させる唯一の方法が、イノベーションです。そして、イノベーションを実現させるには、設備投資、研究開発、人材投資が不可欠です。
究極のところ、日本の給料が一向に上がらず諸外国に抜かれっぱなしになってしまったのは、設備投資、研究開発、人材投資が足らず、十分なイノベーションを起こせなかったことに尽きるのです。
事実、1人当たりの研究開発費を見てみると、日本は世界の12位です。トップは韓国で、アメリカ、シンガポール、台湾が続いています。
イノベーションは、研究開発と普及率で決まります。日本はそもそも研究開発が少ないので、仮に普及率が高かったとしても、イノベーションは相対的に非常に少なくなってしまうのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら