クラウンとプリウスを激変させたトヨタの苦悩 最盛期のわずか10%にまで落ちた2車への覚悟

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人気の高いアルファードは、すべての店舗で売れ行きを伸ばし、クラウンはトヨタ店でも顧客を減らして販売の低迷が一層顕著になった。かくしてクラウンの売れ行きは、1990年の10分の1になったのだ。

ちなみに全店が全車を扱う販売体制では、人気車と不人気車の販売格差が明確になり、車種のリストラをしやすくなる。それも、トヨタが販売体制を変えた理由の1つであった。

フルモデルチェンジすることなく生産終了となったエスクァイア(写真:トヨタ自動車)

ノア/ヴォクシーの兄弟車である「エスクァイア」が生産終了となったのも、そのためだ。車種を減らし、車両開発をシンプルにしたかったのである。

「プリウス以外」が増えた結果

プリウスも、近年は登録台数を大幅に減らしていた。過去を振り返ると、2010年と2012年には、3代目プリウスが1カ月平均で2万6000台以上を登録している。先に述べたようにN-BOXの2022年が約1万6800台だから、3代目プリウスの最盛期はさらに1万台も多かったのだ。

2009~2015年に販売された3代目プリウス(写真:トヨタ自動車)

それが先代(4代目)プリウスのモデル末期となった2022年の月平均は、約2700台にまで落ち込んでいる。プリウスも、最盛期だった2010年代前半と比べると、2022年の売れ行きは約10分の1だ。

プリウスが売れなくなった理由はクラウンのセダン離れとは異なり、理由は2つある。まずはトヨタの幅広い車種に、ハイブリッドが設定されたことだ。

3代目プリウスが好調に売れていた2010年代前半は、まだトヨタでもハイブリッドの普及段階にあり、ハイブリッドを選択できる車種が少なかった。しかも、クラウン、ハリアー、「エスティマ」など上級車種が多く、手頃な価格のハイブリッドは、2011年12月に発売された先代(初代)「アクア」程度であった。

2011~2021年に販売された初代アクア(写真:トヨタ自動車)

だから、この時代に実用的で手の届きやすい価格のハイブリッドを探すと、プリウスが有力候補になったのだ。しかも、3代目プリウスは、2代目に比べると機能を充実させて値上げを抑え、取り扱う販売店も2系列から4系列(全店)に増やした。

3代目プリウスは、開発と販売の両方に力を入れたから、2010年と2012年に月平均2万6000台以上にもなったわけだ。それが今のトヨタは、ほとんどの車種にハイブリッドを用意する。

次ページマークIIのように廃止する選択もあったが…
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