クラウンとプリウスを激変させたトヨタの苦悩 最盛期のわずか10%にまで落ちた2車への覚悟
低燃費と低価格を重視するなら「ヤリス」、人気のSUVなら「ヤリス クロス」や「カローラ クロス」、車内の広さが大切ならミニバンの「シエンタ」やノア&ヴォクシーにも用意され、ハイブリッドを用途に応じて選べる。実用性と低燃費をあわせ持つプリウスのニーズは、薄れた。
プリウスが売れなくなった2つ目の理由は、先代のデザインだ。外観、内装ともに個性的だったが、個性的すぎて市場の評判は良くなかった。マイナーチェンジで相応に変更したが、人気の回復に至らなかった。
このようにクラウンはセダンの衰退、プリウスは主にトヨタのハイブリッドの普及により、販売台数を最盛期の10分の1まで下げた。
「廃止するのは惜しい」ビッグネーム
両車種ともに使命を終えたと考えて、以前の「マークII(終了時はマークX)」や「コロナ(終了時はプレミオ)」のように廃止することも可能だったはずだ。
だが、クラウンは1955年から続く、トヨタの伝統ある車種だ。プリウスも1997年に「世界初の量産ハイブリッド」として投入された車種だから、認知度は海外でも高い。両車ともに「廃止するのは惜しい」と判断されたのだ。
しかし、存続させることになったとはいえ、従来と変わらぬ形では売れ行きは下がるだけだ。そこでトヨタは、車名は従来と同じでも、開発を根本から変えることにした。
クラウンは、国内市場向けの上級セダンから、海外でも販売が見込める売れ筋カテゴリーのクロスオーバーに発展させた。しかも、ボディが1種類では販売が低迷する心配もあるから、クラウンクロスオーバーにくわえて、スポーツ/エステート/セダンを含めたシリーズ化を行った。4タイプをそろえれば、販売低迷による車種の廃止も避けられる。
プリウスは5ドアクーペ風のスポーティな車種になった。
今のトヨタには、WLTCモード燃費が36km/Lに達するヤリス ハイブリッドもあり、プリウスは燃費に固執しないで、ハイブリッドの付加価値に重点を置いた車種としたのだ。
具体的には、エンジンよりも反応の素早いモーター駆動による機敏な加速性能があげられる。
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