暴走している日本株はいずれ「正常化」で下落する 日本株買いを勧める3つの口実に根拠はあるか
安値の予想値を2万4000円から2万7000円に上方修正した最大の背景は、株価が上がったからということではなく、足元の日本の経済環境において筆者の見誤りがあったことによる。
日本の内需が想定以上に堅調
もともと日本では、海外経済悪化の影響を受けて外需製造業が不振の一方、インバウンド消費や国内の人流の回復などで内需非製造業が堅調と、「外需と内需、製造業と非製造業の綱引き」を見込んでいた。この見解は今も大枠では変わらないが、内需の堅調さが想定以上だ。
実際、外需不振は予想どおりだ。例えば18日に発表された4月分の貿易統計において、前年同月比での円安によって外貨建て輸出の円換算額が水膨れしたことで、輸出金額は何とか前年比プラスを保っている。しかし、世界経済の悪化が輸出数量には明らかに影を落としており、4月の数量指数は前年比6.2%減と、7カ月連続のマイナスだ。
とくに中国向け輸出が変調を来しており、世界全体で見れば何とか増加基調にある輸出金額についても、中国向けの輸出額は5カ月連続の前年比減少だ。「円安だから輸出株は買いだ」などと言っている場合ではない。
一方、内需は強調展開となっている。小売業やサービス業など、景気の最前線で働いている人たちにヒアリングし、景況感をまとめた内閣府の景気ウォッチャー指数は、コロナ禍後は感染状況などを受けて激しく乱高下してきたが、ここ数カ月は落ち着いて回復気味の動きを示している。
消費者の心理を表す消費者態度指数を見ても、改善傾向は明らかだ。コロナ禍明けの最高値である39.2(2021年11月)をピークに、生活必需品や光熱費などの上昇を背景として悪化傾向をたどり、昨年11月は29.7まで低下していた。
しかし、そこからはおおむね改善に向かっていて、直近の4月分では35.4に回復している。この足元の改善の要因としては、ベースアップや夏のボーナスの増額見通しなど、所得環境好転の期待があるものと推察される。
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