【産業天気図・建設】大震災発生で「アジアシフト」、「予算執行遅れ」、「調達難」の三重苦

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 マンションを除く民間建築で老朽施設の大規模修繕や建て替えが、震災を機に前倒しで進む可能性はある。ただ、不動産業界は、オフィスビルの供給過剰懸念があったところに、今回の震災発生。需要増は学校や医療・介護施設など政府が補助金を出す分野に限られるだろう。こうした顧客層に食い込む戸田建設や清水建設、竹中工務店は堅調な受注動向の継続を望む。

一方、鹿島や大林組などライバルの巻き返しは必至。そうなると、受注競争は、低採算の消耗戦に陥る懸念が高まる。体力のない中堅以下は「金融機関の顔色をうかがうと、採算面で儲からない工事はとれない」(ゼネコン幹部)。受注競争に参加せず、大手の下請けに回るケースが多くなるだろう。

一方、土木は、東北を拠点に震災復旧・復興の案件を待つ状況。各社は、発注者の要請で安全点検や応急措置を行った。大成建設は福島第一原発の現場で協力会社と合わせて100名以上が奮闘、社の内外で原子力本部の存在感を高めた。

鉄道工事は、JR東日本が筆頭株主の東鉄工業、第一建設工業などが特需で、2012年3月期も好業績が見込まれる。鹿島は、明治初期から今日に至るまで、東北地方の鉄道軌道工事が全社のバックボーン。その鹿島が大株主で連携して工事を担う鉄建建設も、現地で復興に大きくかかわるだろう。舗装工事の道路会社、地盤改良に強みのある特殊土木業者、港湾整備の海上土木業者などは、被災地で自治体発注の中小工事で活躍が見込まれる。

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