ドラッカーが「最高の未来学者」と評される所以 チャーチル首相も絶賛した「歴史を読む力」
「自分は社会生態学者」
小島:ドラッカーは学問的なジャンルのどこにも分類されない人なんですよ。ご本人は「自分は社会生態学者だ」と言っています。人間を捨象した社会科学というのはおかしいんじゃないかと(笑)。ドラッカーは日本のアカデミズムではなかなか認められていないようで、彼の著作を経済学の論文に引用するような人はあまりいませんね。
白川:だけど今、経済や国の問題を議論するにも、ドラッカーがどこかで書いているように、1つの生態系として理解しないといけないと、経済学者も意識し始めてきているとは思うんですね。ただ、それをモデル化することは非常に難しいし、たぶんいつまで経ってもモデル化はできないでしょう。現状はモデル化できないから扱わないということになっている。
小島:エコノミストについてこんなジョークがあります。ソ連が崩壊したあと、ゴルバチョフの時代に経済がガタガタになって、結局それでゴルバチョフ自身も失脚した。ソ連にはもう物がない。マーケットに行ってもみんな買い占められて棚には何もない状態になりました。
そんなとき赤の広場で軍事パレードがあった。タンクありミサイルありで、屈強な兵隊が行進している。そのなかにブラックスーツのグループが100人ばかり歩いていた。「あれは何だ?」と聞いたら、「おまえは知らないのか。あれが一番破壊力がある武器なんだ」と。
「彼らは何だ?」と尋ねると「エコノミストたちだ」と。「彼らがソ連経済を崩壊させたじゃないか」と(笑)。結局、エコノミストは経済を再建できなかった、新しい経済をつくり出すことができなかったという皮肉です。
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