自治体ぐるみで被災住民を支援する小千谷市、一時帰宅も実現、ペットを連れ帰る人も-東日本大震災、その時自治体は《1》

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 3月31日には市内のハローワークが雇用保険受給や就職ニーズについての説明会を開催。17人の被災住民が説明を聞いた。4月1日から、市営および県営住宅(計8戸)および雇用促進住宅(61戸)への入居斡旋を開始。
 
 4月3日には、ほかの自治体に先駆けて「一時帰宅」を実現。マイクロバス3台に分乗して52人の被災住民が南相馬市に帰り、家財道具を持ち出したり、ペットを連れ出してその日の夜に小千谷市に戻ってきた。
 
 現在、体育館に付設されたガレージでは、被災住民が連れて帰った犬4匹、猫5匹が市内ボランティアの手を借りて飼育されている(写真)。また、4月5日には市内の三洋半導体製造の社員寮に、主に自宅を失った住民など44人が移動。新たな生活を始めた。

小千谷市民による町ぐるみの支援について、南相馬市から避難してきた金子美智子さん(82)は「本当にありがたい」と話す。ただ、多くの避難住民は「早く自宅に戻りたい。今の場所からまた別の場所に行かなければならなくなるのは不安が大きい」と本音を吐露する。

住民の中には津波で家を失った人と、そうでない人がいる。原発から20~30キロメートル圏内で「屋内退避区域」に家がある人と、20キロメートル圏内の「避難指示区域」で家に戻ることもできない人もいる。被災住民は複雑な事情を抱えたまま、いつ終わるともしれない避難生活を続けている。
 

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小千谷市に避難してきた南相馬市住民


4月でも雪の残る小千谷市
 
 
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
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