シャープ「2600億円赤字」を招いた原因に残る疑問 再び連結化した液晶パネル製造会社を巨額減損

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ホンハイとシャープの買収調印式
2016年の鴻海によるシャープの買収契約調印式。買収を先導したのは、鴻海の創業者の郭台銘(テリー・ゴー)氏(写真中央)だった(撮影:ヒラオカスタジオ)

「2023年度の最重点目標は最終利益の黒字化だ」――。

5月11日に行われたシャープの決算説明会。呉柏勲CEOは何度も「黒字化は必達目標だ」と繰り返した。

無理もない。2023年3月期決算は、2608億円もの最終赤字になったからだ。シャープが最終赤字になるのは2017年3月期以来6年ぶり。当時の赤字額は248億円だった。台湾の電子機器製造・鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープ本体に出資し経営に乗り出してからでは、初の最終赤字となる。

巨額赤字の直接的な原因は、2022年6月に”再び”連結子会社化した液晶パネル製造会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の業績不振にある。これによりディスプレー事業などで総額2205億円もの減損損失を計上した。

株式市場は疑問の目

ディスプレー事業の不振ぶりは部門損益が664億円の赤字となったことでも明らかだ。2022年3月期は203億円の営業黒字だっただけに大きく落ち込んでいる。シャープは不振の理由を「市況の低迷によりスマートフォン向けやPC向けのパネルが減少した」ためだと説明している。

この理由自体は事実なのだろう。だが、今回の減損処理やそもそもSDPを連結子会社化したことに対して、株式市場からは疑問の目が向けられている。5期連続で最終黒字を達成し、鴻海流改革で復活を遂げたかと思われたシャープにいったい何が起きているのか。

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