「英語と中国語の覇権争い」10年後の勝者はどちら 中国語が「世界共通語」になる日はやってくるか

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五味:中国はまた秘密の多い国です。だからこそ、世界的なニュースを発掘してスクープを放つことができると、野心的な欧米のジャーナリストは積極的に中国語を学んでいます。通訳に頼らず取材できる人が少なくありません。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」を実践しているんですね。

ほかにも私の友人で、長く上海で働いていた日本人男性は、中国は急速に発展している国だけに、中国語に堪能なら、日系や中国系企業の就職口がたくさんあると話していました。

文化的には日本と中国は近いですが、世界観や社会の構造はまったく違います。一緒に働けば、すぐさまそういう違いに直面することになります。日本ではなかなかできない経験です。中国語を介して異文化コミュニケーションのスキルを向上させるきっかけになると思いますね。

日本人にとっての英語学習

上乃:英語学習に関する日中の違いについて、どう感じますか?

五味:中国には今、約2億3000万人の小中高生がいて、さらに大学生、社会人を加えると、約4億人が英語を学んでいるといるそうです。

中国人の英語に対する熱意は凄まじく、私の妻の友人で、北京中心部に住む主婦は、イギリス人を週に数回自宅に招き、中学生の娘に英語を教えてもらっているくらい。授業料は1時間1万円ほどとのことでした。大雑把ですが、日本人の100倍ぐらいの熱意はあるような実感がありますね。

かたや、日本の学校の英語教育に目を向けると、中途半端過ぎて、どこを目指しているのかよくわかっていないという印象が否めません。

受験用の一科目という位置づけのまま、「空欄にon、for、inのいずれかを当てはめなさい」なんていう学習をしていたら、もうダメでしょうね。しかも、入試が終わったら全部忘れてしまうという……。これは壮大な無駄ですよ。 

受験のためだけに英語を学習することが本当に合理的なのか。ここを考え直していく必要があると思います。自分の競争相手は、クラスの同級生や、志望大学の入試を受ける受験生とかではなく、中国にいる4億人という意識を持たなくてはいけない時代になっている。

せっかく英語を勉強するなら、将来、海外に行って、自己主張の強い中国や韓国の人たちと英語でやり合っていく覚悟を持って勉強したほうがいい。

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