新大久保駅「コリアタウン」だけでない街の素顔 表通りの喧噪とは対照的な閑静な住宅地も

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百人町も歴史ある地名だ。江戸時代、伊賀組百人鉄砲隊の屋敷があったことに由来する。百人組と呼ばれた江戸の街を警護する鉄砲隊の1つで、腕前が天下に鳴り響いていた。

その歴史を伝えるのが百人組の尊崇を集める皆中稲荷神社だ。新大久保駅から西へわずか100mほどの、大久保通りに面したところに鳥居が立つ。ここの例大祭が、新宿区の登録無形民俗文化財でもある「鉄砲組百人隊行列」だ。かつて奉納されていた「鉄炮組百人隊出陣の儀」を再興したものと伝えられており、鎧兜に身を固めて火縄銃を担いだ行列と、実戦さながらに火薬を用いた火縄銃による試射が行われる。

大久保駅の百人組
大久保駅高架下の百人組のイラスト(筆者撮影)
皆中稲荷神社
新大久保駅に近い皆中稲荷神社(筆者撮影)

また、「皆、中る(あたる)」として賭け事の神様としても知られる。しかし今では、若い女性が参拝客の中心かもしれない。相当な高倍率になるライブのチケットの抽選が当たるようにとの願いからで、奉納されている絵馬を見れば、今、人気があるアーティスト、アイドルがわかるほどだ。

大久保通り沿いに広がるコリアタウン

新大久保駅は長年、1936年築とされる、三角屋根の駅舎で親しまれてきたが、2020年に4階建ての新駅舎が完成。小規模ながらも2階以上は商業施設が入居する駅ビルとなった。2階のカフェは、山手線の高架とほぼ同じ高さになり、窓際の席からは、電車が発着する様子をすぐ目の前に見ることができる。

この新大久保駅で2001年1月26日に発生した乗客の転落事故は、鉄道駅の安全対策を抜本的に見直す契機となった。転落した人のみならず、助けに入った2人まで山手線の列車にはねられて亡くなった事故で、非常停止ボタン、転落検知マット、ホーム下の待避スペースなどが急ぎ、設置された他、その後のホームドア整備にもつながった。

わが身を顧みず救助を試みた勇敢な人物を記憶に留め、顕彰するため、ホームから改札口につながる階段の踊り場に追悼プレートが設置されている。2人のうちの1人は韓国人留学生であり、日本語とハングルの併記になっているのが新大久保らしさかもしれない。

接続する鉄道もない、さほど大きな駅ではない新大久保は、今は駅前で交差する大久保通り沿いに広がる「コリアタウン」への観光客で、平日であってもにぎわっている。修学旅行の生徒の姿も目立つ。元は韓国人向けの食料品店などが集まっていた地域だが、その後の韓流ブーム、K-POPの流行により観光客向けのグッズショップや飲食店なども多数、集中するようになった。

大久保通りのコリアタウン
コリアタウンとして人気の大久保通り(筆者撮影)
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