日本経済に「インフレ圧力」が高まるとどうなるか 教養としての金利や問題点を考える【後編】

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量的金融緩和政策は、中央銀行が巨大な取引参加者となって市場を支配するので、市場の多様性や取引の自由度が大きく制約されます。

とくに日銀が採用しているイールドカーブ・コントロール政策では、本来市場に委ねられるはずの長期金利の水準が日銀によって人為的に決められるので、それはもはや「将来予想としての長期金利」でもなければ、「経済の体温計」にもなりえません。

市場機能が失われることの何が問題かというと、1つ目は先ほども少し触れましたが、市場流動性(売買のしやすさ)がなくなり、金融政策が変更されたりするときに相場が乱高下する可能性があることです。

イールドカーブの警告機能が失われる

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そして2つ目は、イールドカーブがもつ警告機能が失われることです。

市場は、金融政策の妥当性や財政の持続性について評価を行い、それにもとづいて警告を発する機能をもちます。いわゆる債券自警団ですね。

ところが、非伝統的金融緩和政策のもとではこの警告機能が働かなくなるので、財政の悪化に歯止めがきかなくなったり、不適切な金融政策がいつまでも継続されたりする危険性が高まります。

いずれにしても、前代未聞の低金利時代が何をもたらしたのか、本当のことは、そこから抜け出すときに初めてわかることになるでしょう。

田渕 直也 ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役

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たぶち なおや / Naoya Tabuchi

1963年生まれ。1985年一橋大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行に入行。海外証券子会社であるLTCB International Ltdを経て、金融市場営業部および金融開発部次長。2000年にUFJパートナーズ投信(現・三菱UFJ国際投信)に移籍した後、不動産ファンド運用会社社長、生命保険会社執行役員を歴任。現在はミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。シグマインベストメントスクール学長。著書多数

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