日本経済に「インフレ圧力」が高まるとどうなるか 教養としての金利や問題点を考える【後編】

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逆にいえば、満期までその債券を保有するなら、この評価損が現実のものになることはありません。

もちろん終利がマイナスの債券を買って満期まで保有すれば、評価損云々とは関係なくその分が損失になるわけですが、現状、日銀が保有する全債券の平均利回りはわずかなプラスになっています。

厳密にいえば、だからといって、途中で売却しないなら評価損には意味がないというわけではありません。

それは「かつて低い利回りのときに買った債券が、利回りが高くなったいま、新たに債券を買う場合に比べてどれだけ不利な運用になっているか」を表すものと考えることができ、純粋な運用という観点でみれば、本来得られるはずのものを得られないという点で、それはやはり損失には違いないのです。

ですが、日銀は営利企業ではないので、どんなに非効率な運用をしていても結果として赤字にならなければよく、したがって評価損が実現しない限りはとくに大きな問題になりません。

”逆ざや”になった場合

では、どういうときに現実の損失が生じるかというと、金利の上昇にともなって日銀の資金調達コストが上がり、保有している債券の利回りを上回ってしまう場合です。いわゆる逆ざやです。

現在、日銀の資金調達は、主に日銀券(紙幣)の発行と日銀当座預金を源にしています。どんなに高金利の時代がきても日銀券には金利を付ける必要はありません。

一方、日銀当座預金の付利金利を引き上げれば日銀の資金調達コストはその分、上がっていきます。では、日銀当座預金の金利を引き上げなければよいということになるのですが、金融引締めを行うときには、そうもいかなくなるのです。

2022年末の日銀当座預金は、実に500兆円ほどもあります。このように中央銀行預金残高が大きく膨れ上がっているときには、その付利金利は、短期市場金利の下限になります。

あり余ったお金を中央銀行に預けっぱなしにすることでいつでもこの金利が得られるので、これを下回る金利で、市場でお金を運用する意味がなくなるからです。

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