日本の自動車メーカー、回復への長い道のり《ムーディーズの業界分析》
4. ホンダ(A1、安定的):ホンダの業績は多くの競合他社比で強固に推移してきた。同社は多くの工場の操業を4月4日まで停止したが、現在の格付けの範囲内でその影響に対応できる余地がある。
5. 日産自動車(Baa2、格上げ方向で見直し):日産の業績は回復しており、ムーディーズは震災前に、同社の格付けを引き上げ方向で見直しの対象としていた。日産の工場の多くは、海外の組立工場向け部品の生産を一部再開しているが、国内向け製品の組み立ては3月24日まで停止している。被災地域に所在するいわき工場では、復旧作業のために時間を要しているため、生産停止が続くとみられる。震災に伴う問題により、同社の格上げが遅れる、あるいは行われなくなる可能性はあるものの、現在のところ、格下げは見込んでいない。
直接的被害は限定的
これらの自動車メーカーの大半は、震災により組み立てラインの一部で被害を受けたが、その被害は、工場設備の大規模な損壊といったものではなく、壁や天井の倒壊、あるいは電力不足によるものである。したがって、多くの場合、各社は迅速に復旧を進めることが可能、としている。いずれのメーカーも、津波や、それによる福島原発事故による、長期的かつ直接的な被害を受けてはいない。一方、ホンダは、部品調達先の操業停止により、一部工場の生産再開を4月まで延期する、としている。
自動車メーカーの主要組立工場に対する物理的被害はそれほど大きくなく、長期にわたって生産能力が損なわれるとは考えにくい。次のとおり、これらの自動車メーカーの組立工場は、被災地域の南に所在している。