政府は、ほんとうに震災被害の現状把握ができているのか?

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 民主党政権は政治主導を全面に掲げた。菅直人政権も(首相)官邸主導を強調している。そうした中で、中央省庁との歯車がかみ合わず、中央省庁とすれば、政治主導の下で「勝手な動きはとれない」という事情も働いている。

現に、「政治主導」の官邸からは、「現地調査を急げという指示は一向に発せられない」とある官庁幹部は言う。

ちなみに、中央省庁には宮城県仙台市に東北局がある。岩手、福島には事務所が設置されているが、仙台の東北局は農水局のようにビルが全壊してしまったようなケースもある。そこまでいかなくても、なにがしかの被害は受けており、平時のような活動を果たしにくい環境にある。事務所も日々の業務に追いまくられて、本格的な現状調査を実施する余裕はないにちがいない。

つまり、震災発生から現在まで、菅政権下では被災地の詳細な把握はできていないことになる。それでいながら、「復興」の言葉だけが政府中枢で飛び交っているのが現状だ。有効な政策の策定・実施という面では、先行きを心配せざるを得ない状況にある。
(浪川 攻 撮影:梅谷 秀司 =東洋経済オンライン)

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