中国の鉄道輸送「ゼロコロナ後」の驚くべき回復力 旅客輸送は2019年の9割、貨物輸送は過去最高に

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中国の鉄道の旅客数はコロナ禍前の水準に戻りつつある(写真は広深鉄路のウェブサイトより)

中国の鉄道輸送がコロナ禍の打撃から目覚ましい回復を見せている。中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国家鉄路)および傘下の上場企業2社は、4月28日に2023年1~3月期の決算をそれぞれ発表。売上高と純利益は(新型コロナウイルス流行前の)2019年1~3月期に接近または上回る水準を記録した。

国家鉄路の1~3月期の売上高は2719億元(約5兆2861億円)と、前年同期比18.2%増加した。(2022年12月のゼロコロナ政策の緩和をきっかけに)旅客輸送人員が力強く回復したことに加えて、貨物輸送量も過去最高を更新。2019年1~3月期の売上高2618億4900万元(約5兆907億円)を上回った。

同社によれば、2023年1~3月期の旅客輸送人員は延べ7億5300万人と前年同期比で66%増加し、2019年1~3月期の約9割の水準まで回復した。また、貨物輸送量は1~3月期としては過去最高の9億7000万トンに達し、前年同期比では2.3%増加した。

出張や観光の需要が戻る

上場子会社の業績に目を転じると、北京と上海を結ぶ高速鉄道の運営会社である京滬高速鉄路の1~3月期の売上高は89億3900万元(約1738億円)を記録。前年同期比では57.4%増加し、2019年1~3月期を11.6%上回った。純利益は22億2600万元(約433億円)と前年同期の10.1倍に急増し、2019年1~3月期の94%まで回復した。

浙商証券の調査レポートの分析によれば、京滬高速鉄路の大幅な業績回復を後押ししたのは、ゼロコロナ政策の緩和とともにビジネスマンの出張や個人の観光旅行などの需要が急速に戻ったことだ。短期的には、鉄道需要の回復はさらに加速する可能性があるという。

本記事は「財新」の提供記事です

広州と深圳・香港を結ぶ高速鉄道を運営する広深鉄路の業績も大きく改善した。同社の1~3月期の売上高は61億4600万元(約1195億円)を記録。前年同期比では23.0%増加し、2019年1~3月期を20.1%上回った。

さらに、純損益は2022年1~3月期の3億9800万元(約77億円)の赤字から、4億500万元(約79億円)の黒字に転換。2019年1~3月期の純利益3億9000万元(約76億円)を上回る結果となった。

(財新記者:王凌波、包志明)
※原文の配信は5月5日

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