「めちゃくちゃ客が来ました。一気にナンバーワンになりました。1人を施術して8000円くらいの稼ぎになるんですけど、本当に日給4~5万稼ぎました。同時に普通のホテルのクロークで働くバイトをしていて、そっちも月30万円くらい稼ぎました。2カ月で貯金はトータル200万円になりました」
お金が貯まったのは冬で、國友さんは23歳になっていた。旅行のためにもう1年休学を延長した。
とりあえず自転車だけ飛行機にぶちこんで、香港へ
「旅は『ユーラシア大陸横断ヒッチハイク』が好きだったので、香港からスタートすることにしました。当時『ユーラシア大陸横断ヒッチハイク』のネタ元である沢木耕太郎の『深夜特急』はまだ知りませんでした。
フェリーで『行かずに死ねるか!』を読んだ時は、自転車で世界旅行とか自分にはできないと思ってました。でも思い切って1週間後発の香港行きのチケットを取ってみたら、急に現実味を帯びて、そんなに大層なことじゃないように思えてきました。
とりあえず自転車だけ飛行機にぶちこんで、香港に行きました。
ちなみに何も知らずに香港へ行った時、やけに『公司』という看板が多いなと思ったんですよね。後で『会社』という意味だと知り納得したんですが。印象に残ったので、『公司』をペンネームにしました」
冒険家を目指していたし、自転車で行けるところまで行こうと思っていた。
ただ現実は厳しかった。政情が不安定なイラン、イラク、シリアなどのイスラム系の国を通過するのは難しかった。またミャンマーの情勢も悪化していた。
それに自転車で走り続けるとかなり疲れるという当たり前の事実にも気がついた。
「自転車で全力で行けるところまで行くというスタイルをやめて、ひとつの街に1カ月くらい長逗留する、のんびりしたスタイルの旅に変えることにしました」
中国はビザの関係で1カ月で通り過ぎたが、ベトナムのハノイ、ラオスのルアンパバーンやヴィエンチャンなどには1カ月以上滞在しながら旅を続けた。
気に入った都市があれば飽きるまでそこに滞在する。初めて訪れた街では、毎日何時間も街の風景が体に染み込むまで歩き続けた。
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