ただ、世界を旅行するにはお金が足りなかった。
「まっとうにバイトしていたら、旅行資金が貯まりません。まずはアパートを解約して、それから治験モニターに応募しました」
治験とは製薬会社が医薬品の承認を得るために行う試験だ。実際に未認可の薬を身体に入れてテストをする。危険性があるかわりに、バイト代は高い場合が多い。
「会場には150人くらい集まっていました。最初に医者が『この薬を猿に投与したら、その猿は2日後に死にました』
って説明しました。その途端、100人くらい帰りました。僕はもう行くしかない!! って思って参加しましたけど、治験の途中で真っ白いウンチが出て、ビックリしましたね。
治験を受けて、はじめて気づいたんですけど、僕注射がダメだったんです。針が刺さると頭が真っ白になっちゃって。看護師には『なんでコイツ来たんだ?』って顔をされるし。注射が一番きつかったですね」
治験終了後、2週間で30万円のギャラが支払われた。
まだお金が足りないと思い、八丈島のホテルでバイトすることにした。
「孤島で旅行気分で働いて、お金を貯められるなら一挙両得かも? と思ったんです。でもそんなにいいもんじゃなかったです。従業員同士で苛烈なイジメがありました。熱湯をかけたり、かなりえげつなかったです。自分が何か言ったところで変わる雰囲気でもなく、耐えられなくなって深夜に夜逃げしました。働いたぶんのギャラ60万円は後日振り込まれました」
「ゲイマッサージ」の仕事で人気ナンバーワンに
貯金は合計100万円になったが、もうひと押し欲しいところだった。
何か、割のいいバイトはないか探していたところ「ゲイマッサージ」という仕事を見つけた。説明には「日給5万円可能」と書かれていた。
「僕はゲイではないんですけど、マッサージならできるか? と思って応募しました。男性の身体を普通にマッサージした後に、手で性処理するまでが仕事でした。それ以上のサービスは僕には無理でした」
ゲイマッサージの店長は國友さんが
「ゲイではないこと」
「ノンケであること」
を逆に押し出そうと言い出した。
國友さんはわざわざ持ってきた高校時代の野球部のユニフォームを着て、泥で汚した。
その写真をホームページに載せ、「ノンケ入店しました!!」と宣伝した。
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