「最終的にタイのバンコクに到着しました。タイのヤワラートって中華街に泊まったんですけど、雰囲気が異常でした。売春婦がいっぱいいたり、薬物が蔓延していたり……。変な街だと思い調べてみると、『バンコク楽宮ホテル』(谷恒生)という本の舞台にもなっている、楽宮大旅社やジュライホテルってヤバいホテルがあった街だったんです。
そのヤワラートにすごいハマっちゃって。それまでは主に綺麗な景色を見ることを目的にしていたんですが、それ以来タイのスラム街とか、そういうアンダーグラウンドな場所に行きまくりました」
一冊の本と出会い、将来ライターになろうと決意
旅の途中で意外な出会いがあった。
「ヤワラート関連の本を現地でダウンロードして次々に読んでいたんです。クーロン黒沢さんの『裏アジア紀行』(幻冬舎アウトロー文庫)を見つけて、生まれてはじめて本を読んで、腹を抱えて笑ったんですよ。こんなにルポが面白いなんて!! と思って。その時まで将来何をするか決まってなかったんですけど、ライターになろうと決意しました」
約1年旅を続けると、貯金も底付いた。
國友さんは帰国した後、旅行記を書き、色々な出版社に送りつけることにした。
「普通に就職するとしたら就職活動をしなければならないところを、フリーライターになるので代わりに原稿を書いて送りつけました。ただなかなか返事をもらえませんでした」
ある日、國友さんは憧れのクーロン黒沢さんのトークイベントに参加することにした。応募する時、
「自分の珍体験を書いて応募してください」
という欄があったので、ゲイマッサージでアルバイトしていた時に起きた珍事件をたくさん書いた。
イベントが終わった後、黒沢さんに「これを書いた人!!」と呼ばれた。
「黒沢さんが編集人をしている電子雑誌『シックスサマナ』にゲイマッサージのことを書いてみないか? って誘われました。『めちゃくちゃ、やりたいです!!』って言って、連載をはじめさせてもらいました。これが僕の最初のライターとしての仕事になりました。色々な人にお世話になりましたけど、人生で一番の恩人は黒沢さんです」
(後編:「『西成で78日生活』30歳彼が体当たりで掴んだ幸運」に続きます)
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