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のほほんと上がっている日本株の先行きが心配だ アメリカの景気や企業収益は想定通りに悪化中

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  • 馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト
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ただ、当局が空売り規制を実際に行うかどうかについては、疑念を抱く向きも多いようだ。たいがい、投機売りを規制すれば、かえって「そんな規制を行わなければいけないほど、事態が悪いのだ」という観測が膨らんで、逆効果になることもあるからだ。

仮にこれから、実際に当局による空売り規制が打ち出されたとしても、それによる株価上昇効果は、目先の買い戻しが終わってしまえば消えてなくなる。あとに残るのは、着実に悪化している景気と企業収益に沿った、アメリカ株の下落基調だろう。

今一度、世界のさまざま市場を広く眺めると、世界的な景気悪化に沿った動きを示しているものが多い。

例えばアメリカの10年国債利回りは、先週の1日の引けあたりでは3.59%に強含んでいた。だが、4日には3.30%近辺に低下した。週末はやや戻し、3.45%前後と上昇はしているものの、頭が重い。長期債券市場では、景気動向に対する疑念が色濃いと解釈する。

また為替市場では、4月28日に日本銀行の金融政策決定会合の結果発表があったが、そこで金融政策の変更がなかったことを「ネタ」に、そこから円安の動きが進んだ。先週の5月2日には、ドル円相場は一時1ドル=137円70銭超え、ユーロ円相場は1ユーロ=151円60銭超えと、大きく振れた。

こうした円安で日本の輸出関連株については楽観論が広がったが、ユーロ円はいったん天井をつけた形になったし、ドル円は完全に「行って来い状態」だ。やはり、アメリカの景気に対する疑念がドルを下に押し戻したといえる。

また、国際商品市況においても、例えば原油の国際指標であるWTI先物価格は、一時は1バレル=63.50ドル手前までと、70ドルを大きく割れた。前週末現在では71ドル台を何とか回復しているものの、世界的に景気が悪化し、エネルギー需要が減退するという展望を反映していると考える。

日本市場だけ「のほほん」としていないか

世界の諸市場が経済環境などの悪化を正しくとらえている中、日本の株式市況だけは「のほほん」としているように見える。いまだに「ウォーレン・バフェット氏が日本株を買うから大丈夫だ」などと安心しているのだろうか。

こうした中、具体的な記事名は述べないが、ある報道で気になるものがあった。今、大きな問題になっている銀行の「AT1債」(銀行が発行する劣後債の一種。クレディ・スイスのAT1債が無価値になったことで話題になった)についてだ。

要約すると、以下のようになる。「日本以外の投資家はAT1債が高リスクだと正しく評価しており、もはや手を出さない。だが、日本の投資家は別だ。日本株への『のほほんさ』に表れているように、リスクに対して鈍感だから、海外金融機関などがAT1債をパッケージにして日本でさばいている」ということだ。

「日本勢が世界中のババをつかんだ」という結末にならなければよいのだが、筆者は心配している。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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