米韓「ワシントン宣言」で同盟関係はどう変わるか 原子力潜水艦の配備で中ロの反発も
韓国大統領室は「NCGがNATO式の協議体よりもさらに強力であり、アメリカの今回の決定はかなり異例なものだ」という点を強調している。
NCGは既存の「拡大抑止戦略協議体」(EDSCG・次官級)、「拡大抑止戦略委員会」(DSC・次官補級)と合致、あるいは並行して運営される見通しだ。これと同時に「アメリカのバイデン大統領が、韓国に対する北朝鮮のあらゆる核攻撃には即刻、圧倒、決定的な対応をとることを再確認した」と明らかにした。
これにより、北朝鮮の核による挑発に対し、先制的な抑制効果が期待できる。これは北朝鮮の金正恩政権が核で挑発した際には、「その指揮体系まで打撃を与えて全滅させるほどの対応を取る」という軍事的な意味であり、間接的には「核使用も辞さない」という意味だ。
とくにアメリカの核作戦計画とその実行に韓国が協力し、核戦力運用の責任を負う戦略司令部までが参加する合同訓練と図上訓練を行う拡大抑止において、韓国側の発言権を高めるだろう。
韓国・国防研究院のチョ・ピヨン専任研究員は「既存の『拡大抑止手段運営練習』(DSC TTX)は非常設の協議体だったが、NCGは平時から次官補級が関与する常設協議体として格上げされた。これにより情報共有や訓練、戦略資産の展開、核企画運用協議の具体化が進むだろう」と評価する。
核共有・韓国独自の核武装にはクギ
しかし、戦術核の再配置や原子力協定改正などは今回反映されなかった。これは、ワシントン宣言は韓国内で高まる強硬論を背景とする韓国政府をなだめる程度の内容にすぎないとの指摘もある。
これは、単に協議体を拡大するだけでは、北朝鮮の核に対して実質的な脅威を感じる韓国国民の不安を解消するには限界がある、ということだ。
これについて、ある外交安保野関係者は「一部で主張されている核による報復を明文化すべきだという意見は、最初から不可能な目標だった。アメリカのこれまでの政策とも矛盾するだけでなく、そのように断定的な公約をしてしまえば政策的な柔軟性さえ失うことになり望ましくない」という。
ワシントン宣言は「アメリカの弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)が韓国に寄港することが、韓国に対して『アメリカの戦略資産がつねに近くにある』といった目に見える効果になる」という内容を明示した。一方で、これが朝鮮半島における北朝鮮、ひいては中国とロシアによる反発を招く可能性があるとの批判も出ている。
韓国・北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「アメリカの核作戦への『従来式の支援』を共同で実行・計画するということは、むしろ韓国の介入に明らかな限界を設定している。「日米韓の軍事協力によって中国の脅威に対して共同で抑制するという体制に米韓同盟を置こうとするアメリカの意図も垣間見える」と話した。
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