あれから3年、日本初・官僚系YouTuberたちの現在 農水省の官僚が手掛ける「バズる動画」のその後

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自分たちも常日頃、官僚として組織の壁や前例踏襲主義をどのようにかいくぐるかに頭を悩ませていたであろうプロジェクトメンバーたち。彼ら全員が腹を括ったはずである。

とはいっても、与えられた時間は3カ月。予算もわずかだった。

いくら大臣提案のプロジェクトといっても、染み付いたお役所気質がそう簡単に変わるはずはない。周りは慎重派も少なくなかっただろう。ユーチューブ推進派にしても、ハシゴを外されるリスクを感じたら手は挙げにくい。民間企業の研究所ですら、2割は好きな研究を自由にしてよいと言われたりするものの、実際にはやりにくさを感じるという声は多い。その点、職員たちはどうだろう。やりにくさを感じたり、サービス残業に繋がったりはしていないのだろうか。

3周年となったBUZZ MAFFの活動(撮影:梅谷秀司)

木元さんはこう続ける。

「どこの所属であっても、公式ユーチューバーとして認められたら、業務の2割までの時間をBUZZ MAFFに使うことができます。そのために大臣名で辞令を出す制度を秘書課と一緒に作りました」

国家公務員がユーチューバーとして、直接動画で情報発信するのである。ただでさえ細かな指摘が寄せられやすい立場だ。予期せぬ炎上に対する恐怖心は専門業者に学んでも学びきれるものではない。

当初は24チームの応募だったところ、オーディションで14チームが選ばれた。内訳は本省5チーム、地方農政局9チームだったという。

「2020年の1月7日に最初の動画3本をアップしました。その後も毎日1本は新作を公開していきました。ただ数字はまったく伸びずでして、当初の登録者数は約300人、再生数にしても多い動画で1000回が限界でした」

そう語るのは立ち上げメンバーだった松本純子さん。

公募時の応募要領に、月に2本以上動画を作成できること、と記載しておいたのがよかったと笑って説明してくれた松本さん。14チーム×2で最低28本。動画の本数は催促しなくても揃えられたのだそう。

大臣官房広報評価課広報室 地域情報提供係長の松本純子さん(撮影:梅谷秀司)

ネット上で見向きもされなくても、省内では注目されまくっていたに違いないBUZZ MAFFである。肝心の登録者数と再生数が増えない厳しい現実のほうは、どのようにして乗り越えたのだろうか。

「ヒカキンさんをベンチマークしました。広報室長以下、とにかく継続するしかないと腹を括っていました。初めてバズった日のことは忘れもしません。2020年3月12日に九州農政局の『花いっぱいプロジェクト』の動画です。コロナ禍で卒業シーズン需要がなくなり、売れないで困っている花を買ってください、という内容の『農林省から皆さまへのお知らせ』でした。これがなぜかバズってしまって。1分10秒の動画なんですけど、再生回数は100万回を超えています」(松本さん)

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