M&Aが「経営破綻の末の売却」とは言い切れない訳 成長戦略の手段の1つとして選択するケースも

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M&Aという決断は、企業に何をもたらすのでしょうか(写真:Graphs/PIXTA)
ビジネスシーンでよく耳にする「M&A」。その件数は増加傾向にあり、2022年には過去最多となりました。M&Aに対し「経営破綻の末の売却」といった印象を持つ人もいますが、近年、そのイメージは塗り替えられています。後継者不足の解決策として、また、積極的な成長戦略の一環として、M&Aを選ぶ企業が増えているのです。
M&Aアドバイザーが新入社員に教えること 最高峰の「ビジネス総合力」を鍛える』(著・栗原弘行/塚田壮一朗)では、主に中小企業のM&Aを仲介するアドバイザーが、M&Aの意義について語っています。M&Aという決断は、企業に何をもたらすのでしょうか。

件数が増えている日本のM&A

筆者らは、主に中小企業を対象としたM&A仲介をしています。M&Aとは「Merger(合併)&Acquisition(買収)」の略です。ある企業がほかの企業を買収したり、複数の企業が合併したりすることを指します。よく「企業と企業の結婚」とたとえられ、私たちM&Aアドバイザーは、その「仲人」に当たります。譲渡企業(売り手企業)と譲受企業(買い手企業)を結び付け、成長に導く仕事です。

中小企業のM&Aの場合、吸収合併や経営統合となるケースは少なく、買い手企業が売り手企業の51%以上の株式を買い取り、子会社化することがほとんどです。

日本企業のM&A件数は年々増加しています。2020年はコロナ禍の影響で減少したと見られますが、2022年は4304件で、過去最多となっています(下図参照)。

M&A仲介業は、日本独自のビジネスモデルといわれています。これは日本企業の99%が中小企業であり、海外諸国に比べてM&Aが起きやすい環境だからだといえます。

M&Aの大きな要因は事業承継問題の顕在化です。2045年には、70歳以上の経営者は約245万人に増え、後継者不足の企業はその半数超の127万社になるといわれています。

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