PBR1倍割れ多発、東証プライム「テコ入れ」の難路 投資家は早くも改善要求、独り歩きする指標

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JPXの一連の取り組みに対して、投資家や企業は早くも反応を示した。もの言う株主(アクティビスト)として知られる投資会社シティインデックスイレブンスはコスモエネルギーホールディングスに対して2月22日、東証の取り組みを理由としてPBRを上げるために大規模な株主還元を求めた。

岡三証券グループも3月24日、PBRが1倍を超えるまで年間10億円以上の自己株買いを継続的に実施すると発表した。表向きは「ひとつの目安」としたPBRは、すでに独り歩きを始めている。今後、企業は、PBR1倍を意識しないわけにはいかなくなるだろう。

上場企業へ増え続ける要求

上場企業に求められる取り組みはPBRだけに止まらない。東証は「PBR1倍」要請を出した3月31日に、プライム市場の上場企業に対して株主との対話状況を公開するよう要請した。このほか、投資家との対話において説明が不十分な例を出して、注意を促した。

要求が増えるにつれて、プライム市場の上場維持コストは増えていく。実際、そのコストに耐えられない企業も出てきている。

「プライム市場の上場維持を選択した場合、2032年までの累計で、約2億円の費用が発生すると試算している。そのコストを負担するよりも、将来の事業拡大に向けた成長投資に資金を振り向けることが、企業価値向上に資する」。

システム開発・運用を手がけるODKソリューションズは3月29日、プライム市場からスタンダード市場に移ることを選択したと発表した。理由は上述のとおり、プライム市場に適合するにはコストがかかりすぎるということだ。

こうした取り組みは、本来プライム市場かどうかに関係なくすべての上場企業が達成できていることが望ましい。区分を変えてスタンダードに行けば、取り組まなくていいというものではないだろう。市場区分の変更を通じて市場全体を底上げするという、東証の目標が達成されるには、まだまだ遠い道のりが待っている。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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