楽しいことにはお金を使う、嫌なことにはお金を使わない。ごく基本的なことのように思えるが、社会人になると「そういうものだ」「付き合いには顔を出さないと」と固定観念にとらわれて判断しがちである。でももっとシンプルに考えていいのかもしれない。そしてそれが自分の生活だけでなく、自分の心を守ることにもつながるのだろう。
5300万円貯めるのに「意味のなかった節約法」
子どものときから節約を徹底してきたかおるさんだが、意味のなかった節約もあるという。
「節約情報を見ていると、たいていは家計簿はつけたほうがいいと言っていますよね。私も最初はつけていました。でも私は節約が日常化していたので、家計簿をつけたところで、後で確認しても、毎回『何も見直すところはない』という感想で終わってしまう。私にとっては意味がなかったです」
これは節約が徹底しているかおるさんだからだろう。すべての支出を最適化しているからこそ、「記録することで無駄に気付く」といった次元の話ではないのだ。
「皆さんに家計簿をつけなくていい、とお勧めしたいわけではありません。自分の支出をきちんと把握できていない人や、お金が貯められない人は家計簿をつけて見直すのが必要だと思います。私が言いたいのは、本当の理想は、家計簿をつけなくてもお金が貯まる状態にまで持っていける、“節約マインド”が完成された状態だということです」
「そこを気にしすぎていたら生活がはかどらないので、やっていないです。もちろん無駄に使うことはしないですが、細かく気にはしていません」
工場勤務時代から住み続けている東海地方の自宅の家賃は、5万3000円。地方で、節約家の家賃としてはさほど安くはないかもしれない。しかし、かおるさんは、通勤時間を増やしてまで固定費を下げるよりは、通勤にかかる時間を副業やスキルアップに使ったほうが将来的にお金は貯まると話す。
「ただし、通勤時間を有効的に使えるという方や、手っ取り早く固定費を削りたいという方については特に反対しません」
このように、小学2年生の原体験から一貫して今に至るまで、無駄なお金を使わない生活を続けてきたかおるさん。これだけ長い間、節約を続けてこられたのは、「お金を使うとストレスを感じるレベルまで、脳にプログラミングされているから」とのこと。
「疲れたとき、『ちょっと奮発していいもの食べよう』となる人がいると思うのですが、節約家は美味しいものを食べる快感よりも、お金を使うことで感じるストレスのほうが大きくなります。その状態まで節約を脳にプログラミングするには、細かい節約を馬鹿にしないで積み重ねることです。
例えば、よく議論になる『10円でも安い卵を買いに行くために、10分かけて遠いスーパーに行くか?』といった話。これを無駄だといういう人も多いかと思いますが、節約マインドが身についていない人はむしろやったほうがいいです。そういう細かい節約をコツコツ積み重ねていくことで、節約が脳にプログラミングされていきます。まずは10円でも取りに行くべきです」
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