2代目伊予灘ものがたり、何度も乗りたくなる秘密 アテンダントや食事の魅力で乗車率は9割に

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あいにく席は、海側が取れず、山側だった。実は次の便も山側だ。初代の時は、全便海側のカウンター席を取れたのだが、これは2代目の人気がさらに高まっているという証拠だろう。

座席は初代よりもゆったりしている。驚いたのは、各席に設置されたUSB電源。これはありがたい。スマホで写真や動画を撮影するので、大いに利用させてもらう。

この便では、以前もそうしたように、食事を付けた。作っているのは初代と同じ「レストランからり」。以前は2段重だったが、1段重に変更された。初代同様、砥部焼の器が採用されていて、中身が豪華なのは変わりない。

大きく違うのは、温かい料理が出せるようになったこと。コーヒーなどは以前からあったが、今回は温かい茶碗蒸しが出てきた。

というのも2両編成だった初代と比べ、2代目は3両編成となり、3号車に初代にはなかったギャレーができたからだ。ギャレーとは、鉄道や船、飛行機内で乗客に提供する食事を準備するための設備。火は使えないので調理はできないけれど、保温できる機能があり、提供できる料理の幅が広がった。

ただ、列車が3両編成になったことで、アテンダントの動線が長くなった。つまりギャレーは3号車にあるので、そこから1号車の先頭まで揺れる車内でコーヒーの入ったカップをこぼさずに運ばなければならないのだ。そこにはアテンダントの知られざる努力がある。

デザイン担当者が車両について解説

「3号車は、ギャレーだけでなく、『陽華の章』という定員2〜8名の広い個室となっています」と話すのは、車両のデザインを担当した「JR四国 営業部 ものがたり列車推進室長」の松岡哲也さん。利用者しか入れない3号車を、今回特別に案内していただいた。

ギャレー横の細い通路を抜けると個室がある。通路の壁は一面鏡張りだった。

「この鏡は、お手振りの方たちが、お客様のいない部分で手持ち無沙汰にならないよう、外から自分たちの姿が映ることを意識して設計しました」(松岡さん 以下同)

奥に入ると空間が広がる。半円形のテーブルに沿って作られた、8席のカウンター席。テーブルの奥は鏡になっていて、そこに空が映る。海沿いの温泉やプールで、海面が続いているように見える演出を意識したそうだ。

「この車両は花をイメージしているので、壁面全体にほぼ原寸大の桜の模様をプリントしています。実はいくつか花びらが欠けているものがありますよ」

かなり難易度の高い間違い探しだが、いくつか見つけることができた。花びらは、1枚欠けているものと、2枚欠けているものがある。この壁の素材も、実際に桜の木を使用しているらしい。

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