2代目伊予灘ものがたり、何度も乗りたくなる秘密 アテンダントや食事の魅力で乗車率は9割に

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実はバースデイきっぷで乗ると、そういううれしいサプライズがある。

アテンダントが乗車券のチェックをする際に、その情報も共有しているのだ。毎回、カードをいただくたびに感動している。

この日、4便とも3号車個室を予約したという埼玉県から来た男性は、初代の伊予灘ものがたりから、もう270回も乗車しているという。そこまでハマった理由を尋ねたら、「なぜだかわからないが来てしまう」と答えた。さらにもっと乗車した人もいるそうだ。リピーターが多いのも、伊予灘ものがたりの特徴だ。

四国の「おもてなし」が、ほかと違うところは、商売っ気がないところだと思う。ホームに到着すると、「おもてなし」と称して物産品を販売する観光列車は全国に結構ある。しかし伊予灘ものがたりの場合、ホームに到着しても、笑顔で手を振り続ける人々(たまに犬猫)がいるのみ。金銭のやりとりがないのである。そこにはもしかしたら、無償でもてなす「お遍路文化」も関係しているのかもしれない。

「お手振り」に参加してみた

その気持ちを少しでも理解するために、乗らなかった1便目「大洲編」で私も「お手振り」側に参加してみた。ミュージックホーンが聞こえ始め、徐行しながら列車が姿を現すと、思わず「わーっ」と声が出た。列車に手を振ると、車内からも乗客が手を振り返してくれるのがわかる。それがうれしかった。

この「お手振り」は、一方的なものではなく、コミュニケーションなのだ。まぎれもなくこれが伊予灘ものがたりの観光のポイントだ、と再認識した。

松岡さんは言う。「最初に作ることより、続けていくほうが難しい。地元の方のおもてなしが売りにもなっているけれど、それを当たり前と考えたらダメだと思います」

JR四国も、アテンダントも、地元住民とは良い関係を築いている。そうして一丸となって、我々を楽しませてくれているのだ。

日々、進化してゆくおもてなし。これからも新しい「ものがたり」が紡がれていくことだろう。

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