情報を「消費」するだけの人「吸収」までする人の差 情報過多の今こそ「セカンドブレイン」が重要だ

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自分のアイデアでなにかをする前に、頭からアイデアを“取り出し(オフロード)”、クリアにしていくことを著者は勧めている。人は頭の中に散らかっていたアイデアを片づけて初めて、明晰に考えることができるようになり、アイデアを効果的に使えるようになるからだという。

1953年、アメリカ人のジェームズ・ワトソンとイギリス人のフランシス・クリックという2人の生物学者は、DNAが二重らせん構造であることを発見しました。
2人はアメリカの生化学者ライナス・ポーリングの手法を拝借して模型をつくったのですが、この模型が重要なツールになりました。
DNAの構成要素だとわかっている分子のおおよその形に厚紙を切り、それらをパズルのようにいろいろなやり方で組み合わせてみたのです。
模型を卓上に載せて四方から眺め、分子の配列がすべてぴったり収まる形を模索します。二重らせん構造が、すでに判明している条件すべてに合致する形でした。塩基対が完全に組み合わさる一方で、元素間の比率も計測したとおりに保たれていました。
20世紀でもっとも有名な科学的発見の、意外な側面といえるのではないでしょうか。(41〜42ページより)

つまり数学的・抽象的思考を得意とする化学者たちでさえ、ここぞというときには模型という昔ながらの手段、すなわち“形あるモノ”に頼ったということ。あまり関係ないことのように思えるかもしれないが、これはデジタルノートにも共通することである。

デジタルノートは“形あるモノ”ではないが、“目に見えるモノ”だからだ。つまり、漠然とした考えを視覚化し、並べ替えたり、編集したり、組み合わせたりすることが可能な「モノ」だということ。

もちろんそれはバーチャルな形でしか存在しないが、それでも目で見て指で動かすことはできるのだ。

アイデア同士がどんどんつながる

クリエイティビティ(創造性)とは、「アイデア同士を結びつけること」を指すと著者はいう。一見すれば関連性のなさそうなものを結びつけるときにこそ、クリエイティビティが発揮されるということだ。

神経科学者ナンシー・C・アンドリアセンは、一流の科学者、数学者、アーティスト、著述家を含む、きわめてクリエイティブな人たちを幅広く調査し、このような結論に至りました。
「クリエイティブな人たちは関係性の認識、関連性およびつながりの発見に長けている」
多種多様な素材を1カ所に保管することで、情報を結びつけることが容易になり、意外なつながりに気づくことができます。
大昔に読んだ哲学書の一節の隣には、この前見つけた気の利いたツイートが。ユーチューブの動画のスクリーンショットと並んで、名作映画のシーンが。
ボイスメモと一緒に、企画書、役に立つウェブサイトのリンク、最新の研究結果のPDFが。(43ページより)

つまり物理的(フィジカル)な世界では不可能であったとしても、デジタル世界ではあらゆるフォーマットをまぜ合わせることができるのだ。

したがって、思いがけないものが飛び出してくるまで、アイデアの順番を入れ替えてみたり、バラエティーに富んだ珍しい素材を放り込んでおけばおくほど、独創的なつながりを見つけ出すことができるわけである。

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