「しまむら」意外と"値引き少ない"儲けのカラクリ 2期連続最高益更新「決算書の裏側」を読み解く

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ここまでは、店舗からも、PLからも、誰もがわかることだが、決算発表資料に詳しく目を通すと、同社の低価格、ローコストオペレーション、つまり、薄利多売ながら高い収益率につなげる裏には、低粗利率ながら、利益を着実に確保するための値下げコントロール力があることがわかる。

低粗利率でも、高い利益率、その最大の理由は?

みなさんは、しまむらの店頭から、どんな印象を受けるだろうか? おそらく、3桁台のチラシ価格、また店頭商品についている値札が赤い色なため、値下げが多いお店と思っている方々も少なくないだろう。しかし、実は、同社は、国内ファッション流通業界の中でも屈指の、値下げの少ない企業のひとつなのだ。

それは決算説明会資料の「粗利・値下・在庫 前年比」というページを見ていただければわかる。同社では、主力事業が、どれだけ値下げを行い、どれだけ粗利率を確保できたかを開示しているのだ。

これを見ると、事業別の粗利率とともに、「値下率」実績が開示されている。同社における値下率とは、値下げ前の粗利率(小売業界では、値入率と呼ぶ)から、実際に行った値下げによって、どれだけ粗利率が下がったかを意味する数値だ。そして、これらの数値から、もうひとつのことがわかる。それは事業別の仕入れ原価率である。

計算式は、

粗利率+値下率=仕入れ時の粗利率(値入率)
1-値入率=仕入れ原価率

主力のファッションセンターしまむら業態を取り上げていえば、

粗利率(33.2%)+値下率(6.1%)=値入率(39.3%)

となり、

ここから、仕入れ原価率、つまり、同事業が販売価格に対して、平均60.7%の原価率で仕入れていることがわかる。

プライベートブランドを中心に販売するアパレル(SPA)であれば、仕入れ原価率は30%台であるのが業界標準の中、同社では、商品企画を委ねるメーカーやODM商社からのデザイン込みでの商品仕入れのため、かなり高い原価率で仕入れていることがわかる。

この同社が言うところの、値下率がどの程度なのかを消費者でも実感できるように、当初販売価格に対して、同社がどれだけ価格を下げたのかを図示してみたい。

ここでは同社の「値下率(粗利率の低減)」と区別するため、値引き率(販売価格がどれくらい下がったかの割合)と呼ぶ。

図示すると、図のようになる。

すると、しまむら業態の値引き率は9.1%となる。例えば、1000円の商品を平均91円値引きして、約909円で販売したということである。

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