原発30キロ圏外の福島県飯舘村でも、局所的に避難レベルの高濃度放射能、京大研究者ら調査
京都大学原子炉実験所の今中哲二助教らが組織する調査チームは4月4日、福島県飯舘村周辺で行った放射線の測定調査の暫定報告を発表した。調査は3月28日、29日に行われた。
飯舘村は福島第一原発の北西約25~45キロメートルに位置し、屋内退避・自主避難地域の30キロメートル圏内にはほとんどかかっておらず、現在も住民が居住している。しかしながら、文部科学省等の調査により、飯舘村南部には高い放射能汚染地域があることが推測されていたことから、現地での広範囲な実測調査を行った。
→レポートはこちら
この調査結果によると村役場周辺の北西部地域では毎時5~7マイクロシーベルトだったが、南部の比曽川沿いの下比曽~蕨平では、毎時10マイクロシーベルトを超え、最も高い地点の曲田では毎時30マイクロシーベルト(畑、隣接する車内は20マイクロシーベルト)を記録した。
■放射線量の等高線 青から赤になるに従って高い。車内での測定値による
出所:http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/iitatereport11-4-4.pdf
上記の観測結果をもとにすると、3月15日朝と推測される放射性物質の大量放出時から90日間までの被曝量(積算被曝量)は、屋外に常時いた場合で、村役場地点で30ミリシーベルト(3万マイクロシーベルト)、曲田で95ミリシーベルトになるとしている(木造家屋内では1/2、コンクリート建物内では1/10に軽減)。
原子力安全委員会の基準では、屋外での予測被曝量が、10~50ミリシーベルトのときは屋内退避、50ミリシーベルト以上のときはコンクリート建屋内退避または避難となっており、飯舘村の放射能汚染状況は深刻なもの、とレポートは指摘している。
放射性物質の拡散状況は、原発から同心円状に一様ではなく、風向きや天候に大きく左右される。今回の調査結果のように、政府の避難・屋内退避指定のエリア外でも、高濃度の放射能に汚染されている地域もあるはずだ。住民の健康を守り、風評被害を防ぐためにもきめ細かな放射線の観測と対応が必要だ。
より大きな地図で 東日本大震災 を表示
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら