新入社員でもわかる「金融危機」とは何なのか 6つの過去事例から読み取る危機発生の真因
金融危機を最も象徴するのが、この金融機関の経営破綻だ。リーマンショックでは、証券化商品などに投資していたアメリカの大手投資銀行ベア・スターンズが経営危機に陥り、最終的には同じく大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻した。
かつての金融危機は、取り付け騒ぎから始まることが多かったが、リーマン・ブラザーズは、銀行間の資金融通が滞ったことで資金不足を起こして破綻している。
銀行の経営破綻や株価の暴落は、企業の資金調達を困難にしたり、個人が住宅ローンの組成を減少させたりして、景気後退を引き起こす。景気後退には大きく分けて4つの段階があり、「景気後退」、「不況」、「恐慌」、「大恐慌」というプロセスを踏むことになる。
不況は年10%程度のマイナス成長、もしくは3年以上のマイナス成長と言われているが、恐慌になると不況に加えて金融機関の貸し渋りや貸し剥がしといった「信用収縮」や「信用崩壊」が伴う。それが続けば、大恐慌となり、先進国でも飢餓が発生し、最悪のケースではハイパーインフレになる。
資本主義では、企業が常に利益を追求して活動するために、しばしば景気の波が起こる。その波の中で、不況や恐慌、大恐慌へと発展するケースが見られる。不況がやってくることで、業績が悪くなかった金融機関でも連鎖的に破綻してしまうケースが出てくる。
銀行だけではない金融危機の原因
不況や恐慌を生むのは、銀行の破綻だけではない。ノンバンクやシャドーバンクと言われる、銀行のカテゴリに入らない金融機関が破綻しても、金融危機を引き起こす可能性はある。最近は暗号通貨の取引業者といった、新しいタイプの金融業者の経営破綻も金融マーケットに大きな影響を与える。
リーマンショックでは、証券化商品、デリバティブ、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といった通常の金融商品とは異なる金融派生商品によって、金融危機が起きた。何が原因で危機が起こるかわからないと言うことだ。
金融危機は、しばしば人の人生をも狂わせる。例えば、日本でバブル崩壊が起きたときに、企業は一斉に新卒の採用を控えて、業績の悪化を最小限に減らそうとした。その影響で新卒でありながら就職できなかった世代ができた。「就職氷河期世代」「ロスト・ジェネレーション」などと呼ばれる世代だが、一説には1700万人とさえ言われている。
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