新入社員でもわかる「金融危機」とは何なのか 6つの過去事例から読み取る危機発生の真因

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
バブル崩壊による危機(1990年〜1998年)

1985年の「プラザ合意」を契機に、日本銀行が円高不況に対応するために実施した大規模な金融緩和の影響で、日本の不動産価格が高騰していた。日経平均株価は、1989年の最終取引日に3万8915円の最高値を記録。しかし、ここから不動産バブルは崩壊し、株価は約30年にわたって最高値を超えられずにいる。

バブル崩壊後の1997年には、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券が相次いで経営破綻し、その後も日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などが破綻した。個人向け住宅ローンを扱う住宅金融専門会社(住専)などのノンバンク不況も起こり、日本の長い景気低迷をもたらした。金融危機を発端とする30年不況と言ってもいいかもしれない。

アジア通貨危機(1997年)

1997年7月、タイの自国通貨暴落をきっかけに始まった通貨危機がアジア全体に波及した。先進国から流入していた資金が一気に流出したことで不動産などの価格が下落し、金融機関も破綻した。韓国はIMF(国際通貨基金)などの支援を受けることになり、タイとインドネシアでは政権交代をもたらした。為替の急激な変動がもたらした金融危機と言っていい。

リーマンショック(2008年)

アメリカで低所得者向けの住宅ローン「サブプライムローン」が普及し、住宅バブルが膨張していた。しかし、地価の下落と共に低所得者はサブプライムローンの返済が困難となっていく。

一方、大手投資銀行などの金融機関はこのサブプライムローンを組み入れた証券化商品を大量に保有し、サブプライムローンの返済が滞るとともに、価格が下落。各種の金融派生商品などが同時に危機を迎え、アメリカの主要銀行のひとつである「リーマン・ブラザーズ」が資金の枯渇によって経営破綻した。

連鎖破綻を恐れて、金融市場からは資金が引き上げられた。アメリカの株価は約半分に下落し、100年に一度の金融恐慌と言われた。日経平均も6000円台にまで下落するなど、影響は世界中に連鎖。世界中の国が集結して大規模な金融緩和を実施して、経済危機を乗り切った。

金融危機の原因は「暴落」「銀行破綻」「連鎖」

こうして金融危機の歴史を振り返ってみると、その原因がおぼろげに見えてくる。金融危機はなぜ起こるのか。多くの場合、次の3つのステップを踏んでいると考えられる。

① 市場価格の大暴落

チューリップの球根をはじめとして、株価、通貨、債券、不動産など、いわゆる市場価格が大暴落したときに金融危機が始まることが多い。企業や個人の資産を大きく減らしてしまうために、設備投資や個人消費が大きく減少し景気後退をもたらすことになる。

次ページ第2、第3のステップが招く「連鎖」
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事