憂鬱な人は「ストレスが役に立つ」ことを知らない 臨床心理士が説く「プレッシャー」の上手な活用法

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強いプレッシャーを感じる状況ではどうするといいのでしょうか(写真:nonpii/PIXTA)
気分の落ち込み、不安、ストレス、自信喪失……普段の生活の中で、心の浮き沈みは誰もが経験することでしょう。
心理学者にして臨床心理士のジュリー・スミス博士は、2019年からメンタルヘルスについてのアドバイス動画を投稿し始め、現在SNS総フォロワー数は300万、寄せられた「いいね」の数は2000万超え、イギリス公共放送BBCで特集される程の人気を集めています。
科学的根拠に基づきながら、自身やクライアントが実践して役立つことがわかった知識を網羅的に紹介する初の著作『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』より、一部抜粋、再構成してお届けします。

重要な場面でのストレス対処法

わたしたちは日々、「ストレスはよくない」という情報を浴びせられている。しかし、ストレスを排除できない状況ではどうすればいいのだろう。たとえば就職の面接や、試験に臨むときのストレスには、どう対処すればいいのだろう。どうすれば、そのような状況でベストを尽くすことができるだろう。

強いプレッシャーを感じる状況では、「リラックスの仕方」や「ストレス解消法」に関する優れた研究もあまり役に立たないように思える。試験開始と同時にリラクゼーションのエクササイズを始めるわけにはいかないし、数か月にわたる就職活動の末に唯一たどりついた面接に臨むときに、「自分に完璧を求めるのはやめよう」と心に誓っても、ストレスが軽減されるわけではない。こうした状況で真に必要とされるのは、ストレスを活用してパフォーマンスを高め、ひいてはその経験から学ぶためのツールだ。

短期的に強いプレッシャーがかかる状況で目指すべきは、ストレスを排除して家のソファでくつろぐようにリラックスすることではない。プレッシャーに圧倒されたりパフォーマンスに悪影響を受けたりせず、逆にプレッシャーを活かすことを目指すべきなのだ。

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