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中国の一極支配が進む「資源と産業の世界地図」 強固なエネルギー基盤を築いた強かな国家戦略

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  • 平田 竹男 早稲田大学教授/早稲田大学資源戦略研究所所長
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このように躍進する中国の電気自動車ですが、その背景には中国政府による政策があります。中国政府は、消費者には購入補助や免税といった金銭的インセンティブを与える一方、完成車メーカーや自動車の輸入事業者に対しては、従来の燃料車の生産・輸入台数に応じて、新エネルギー車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車)の生産義務を課しています。

要するに、新エネルギー車を作っていなかったら、ガソリン車の輸出や生産はできないということです。その結果、新エネルギー車の国内販売台数は年々増え、2019年には新エネルギー車の割合が4.7%まで上がっています。そのなかでも、8割は電気自動車であり、テスラの電気自動車も中国ではよく売れています。

中国は省エネ・新エネ車の技術ロードマップ2.0というものを発表しており、2025年、30年、35年の目標値が設定されています。ガソリン車の割合を25年には40%に、30年には15%、35年には0%に減らすという目標を掲げています。

そして、ハイブリッド車は25年に40%、30年には45%、35年には50%に増やすことを目標にしています。それからEVなど、新エネルギー車は現状5%ですが、これを25年には20%、30年には40%、35年には50%まで増やすことを目標にしています。電気自動車へのシフトを打ち出し、ガソリン車をゼロにしていくという目標を明らかにしているわけです。

現実主義的な温暖化対策「3060目標」

中国は、CO₂​の排出量において、現在ダントツの世界1位です。2位のアメリカの2倍、3位のインドの4倍の量を排出しています。したがって、中国がCO₂排出量をどのように減らしていくのかは、中国のみならず世界にとっても大きな問題となります。

カーボンニュートラル政策としては、2020年9月の国連総会において、習近平国家主席は環境問題への取り組みに関する中国の長期構想を発表しています。

1つ目は、2030年までにカーボン・ピークを達成、つまり、CO₂排出量をピークアウトさせるということです。2つ目が、2060年までにカーボンニュートラルを達成させるということです。中国においてこれらの目標は「3060目標」と呼ばれ、カーボンニュートラル政策における大きな転換点となりました。

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【ウクライナ侵攻は中国が飛躍する好機】

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