中国の一極支配が進む「資源と産業の世界地図」 強固なエネルギー基盤を築いた強かな国家戦略

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コロナ禍で減速したものの、中国の経済成長には目を見張るものがあります(写真:まちゃー/PIXTA)
ロシアによるウクライナ侵攻を機に、ドイツや日本をはじめ、数多くの国でエネルギー安全保障の問題が顕在化している。そうした中で、ロシアや中東諸国といった資源国との連携を深めつつ、再エネ産業を推進することで、エネルギーの供給基盤を強化しているのが中国である。
本記事では、元資源エネルギー庁石油天然ガス課長で、現早稲田大学教授の平田竹男氏の新刊『世界資源エネルギー入門』から一部抜粋し、資源と産業の両面で存在感を高める中国の強かな戦略について論じる。

強固なエネルギー基盤を確立

コロナ禍で減速したものの、中国の経済成長には目を見張るものがあります。アメリカも先進国のなかでは成長率は高いほうですが、中国の成長はそれをはるかに上回るもので、いまや名目GDPでアメリカに迫る勢いです。

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そして、経済の成長に伴い、中国の1次エネルギーの消費量は、アメリカの1次エネルギー消費量を2009年に逆転し、それ以降も増加し続けています。中国は1990年頃まではエネルギー自給国でしたが、現在は、世界最大のエネルギー輸入国となっています。

しかしながら、中国は自らが描いたエネルギー戦略を着実に実現しています。注目すべきは、化石燃料、再生エネルギー、資源外交の3点です。

まず化石燃料ですが、20数年前、筆者は資源エネルギー庁の石油天然ガス課長の職にありました。当時の中国は、石油利権の確保に懸命で、スーダンなどアフリカの権益を次々と買い漁っていました。天然ガスでは、LNG(液化天然ガス)輸入のための港湾の建設を進めたり、西気東輸政策を始めたばかりで、心もとない状況でした。

それがどうでしょう。現在では、LNGもパイプラインを次々と建設し、エネルギーの輸入インフラは万全な状態です。ミャンマーからは中国ミャンマーパイプラインが、トルクメニスタンからは中央アジアパイプラインが完成し、さらにはロシア、シベリアからのパイプラインも稼働・拡大しています。

わずか10数年足らずの間に、このように中国は化石燃料で確固たる供給体制を築き上げたのです。

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